夏になると、4週間から6週間に及ぶ夏期休暇を取る各国の人々の話を耳にします。しかも、その話を初めて聞いたのはここ数年のことではなく、数十年も前のような気がします。にもかかわらず、そのバカンスという権利を得た人々の話に及ぶたびに、日本人の多くが”うらやましい”と語るのです。
日本は民主主義の国です。国民の多くがそれを望むのであれば、そんな国になっているはずです。国民がそうした国にしたいという意思表示をすれば、それを可能にするために政治も行政も動くはずです。
ところが、そうなっていないのはどうしてなのでしょうか?
実現されていない理由として以下の三つが考えられると思います。
- 日本は民主主義の国ではない
- 日本は民主主義の国だが実は国民の大多数はバカンスを望んでいない
- 日本は民主主義の国であり、国民の大多数はバカンスを望んでいるが魔物にとりつかれているため実現できない
1.はより民主的なやり方が考えられないため除外します。 2.のバカンスを望んでいない人がいることも事実だろうと思います。 長期のバカンスを取る欧米人の中にも実は仕事が好きで、あるいはいちいち出かけるのが面倒で、あるいはそんな金銭的な余裕が無いという理由で、ホントはバカンスを取りたくないと考える人もいるようです。
日本人の多くは長期の休暇が取れるバカンスを望んでいるはずだと考えています。ところがバカンスを可能にする制度が未だにできあがらず、それゆえにバカンスを取れない理由は、3.の魔物にとりつかれているせいだろうと思います。その魔物とは何なのでしょうか?以下にその魔物思想を並べてみました。
- 油断をしてバカンスを取ると貧乏人になってしまうという考え方
- バカンスを取ると怠け者になってしまうという考え方
世界一の金持ちを経験したことで、少なくとも日本が貧乏な国ではなくなったことはたしかです。ところが、そうしたバブルの時期を過ぎても、バカンスは実現されていません。バカンスを取る権利はどうも金銭的に豊かだとか貧しいとかということには関係が無いようです。というのも、日本よりはるかに経済が不安定で貧しいとされる南米の途上国でさえ、長期のバカンスの機会が与えられているからです。
貧富の問題ではないとすれば、南米の人々は怠け者で、働くことがイヤだからだと考える人もいるはずです。ところが勤勉だとされるドイツでもバカンスは実現されています。
日本人がバカンスを取らない理由が、貧富の問題でもなく、勤勉さの問題でもないとすれば、残るのは思想上の問題だということになるでしょうか?
まるで、日本人の多くが悟りを開いた釈迦のように、生きている時間を”苦”だと考えているのだとすれば、自分という存在を意識しないですます方法は自らを忙しくしてそんな余計なことを考えないようにすることです。
しかし、そんな生き方で良いのかどうか、じっくり考えてみるためにも、まとまった時間が取れるバカンスが必要だと考えています。
-2002/7/31
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