今年の夏は東北地方の梅雨明け宣言を聞かないまま立秋を迎えてしまいました。十年前の1993年のような冷夏になるのではないか、と言われています。
10年前は初夏当たりから米の在庫が少ないことが叫ばれていて、案の定米不足になりました。おかげさまで長粒種であるタイ米を食べることができました。カレーには良いと思います。さらに発見したのはオーストラリア米が旨かったことです。カリフォルニア米も結構イケました。
1993年の冷夏で、次に発見したことは高齢者の狼狽ぶりでした。争うようにして米を食べようとしていたからです。米がないのなら、うどんやそうめんを食べればいいじゃないか、と思ったものです。食えない時代を過ごし、鍛えられているはずの人々の慌てようが印象に残りました。ちなみに今年の米はかなり余っているらしく、心配ないそうです。
外米の旨さを発見したことで、自分のブランド米信仰が徐々にぶちこわてゆきました。外米が意外に旨いという、事実は国内のブランド米は本当に旨いのか、という疑問につながりました。
そんなぼんやりした疑問が行動に移されたのは2、3年ほど前です。あの超有名な魚沼産コシヒカリと普段食べている、それ以外の米とを食べ比べてみました。結論は、どちらが旨いのか分からない、というものでした。
さて、涼しい今年の夏の話に戻ります。二年前の2001年の夏には、「今年の夏はなぜ暑いのか?」、と題するコラムを書きました。当時の暑さの原因はダイ・ポール現象によるのではないか、という説明でした。
それは、アフリカ大陸とインドの間の海域が一つの極(ポール)Aとなり、東南アジアの太平洋側がもう一つの極Bとなり、Aの極の温度が上昇して上昇気流を生み出し、その気流がBの極に降りてくるというものです。つまり二つ(ダイ)の極(ポール)がもたらす現象だと、説明されたわけです。
南太平洋にあたる、東南アジアに気流が降りてくると、その空気の圧力で気圧が上がります。このあがった圧力によって日本の南海上の太平洋高気圧が張り出して、梅雨前線や雲を北に追いやり晴れが続き、暑さが続くというものでした。
それなら、今年の冷夏はどう説明されているのでしょうか?気象庁の説明によると、偏西風の世界的な乱れにより、太平洋高気圧の張り出しが弱まり、日本ではなかなか梅雨が明けなかった、ということになっています。さらに、ヨーロッパを襲っている記録的な熱波もこの偏西風の乱れが原因ではないか、としていますが、詳しいことはよく分かりません。
その他の情報から判断すると、ヨーロッパではその偏西風がより強く、南からヨーロッパをなめるように吹いているために温度が上がっているようです。偏西風は地球が自転しているために吹く西風ですが、緯度の高いイギリスが意外に暖かいのはこの偏西風のおかげだとされています。
日本では偏西風はどう作用するのでしょうか?西から東に向かって吹く偏西風はヒマラヤ山脈で北と南に分かれ、大陸の冷たい空気を日本に運んでいるために、太平洋高気圧を押し下げる方向に働いているらしいのです。梅雨がなかなか明けなかったのもこのためだとの説明もあります。
あらゆる現象を捕まえて、日頃の主張を強調したくなるのが人情というものです。ヨーロッパの熱波を、地球温暖化のせいだ、と説明する人もいるかも知れません。ところが、日本の夏が涼しいのは、地球温暖化のせいだと、説明するのは無理があります。
冷夏に関して、だれが何をどう語るか、これが今年の夏に発見することかも知れません。
-2003/8/16
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