バブルの頃には食べられる食物の30%が棄てられていたという統計があります。最近はその頃よりは良くなって28%くらいにまで下がったそうですが、相変わらずもったいないことが続いています。日本に住む一億三千万人の食糧の三割が棄てられているということですから、約4000万人分の食糧が使われずに棄てられているという意味でもあり、これは北朝鮮(約2000万人)の倍の人口をまかなえる食糧です。
不況が長く続いても、バブルの頃のような浪費が続いていることを示しています。なぜこのように無駄が多いのでしょうか?
腕の良いシェフは客の食欲の程度を読んで料理を作ると言われています。これはつまり余分に作って残すことも少ないという意味にもなります。外食チェーンのレストランではマニュアル化された調理法を可能にする調理器具が使われるようになり、素人でもシェフが作ったかのような料理を用意できるようなシステムになっているそうです。
味や見た目の仕上がりはこれでよくても、お客さんの食欲に応じた量の調整まではできず、心ならずも食べきれない残飯をもつくってしまうことになります。こういう無駄はありがちだとも言えます。
ところが意外に多いのが冷蔵庫の中の奥の方に忘れ去られて放置され、発見された頃には食べてはいけない消費期限切れになっているケースです。保存期間が長いものは賞味期限表示で少しくらいすぎても大丈夫ですが、保存期間が短い食品は消費期限表示がされており、その期限が切れたやつを食べるためには丈夫な胃袋と勇気が必要です。
こうした無駄が出るのは食糧不足の時代を経験したことがない若い人が増えたからだと年輩者の中には考える人もいるかも知れませんが、冷蔵庫がその中に何が入っているのかよく見えない構造になっていることも原因の一つだと言われています。
スイッチを入れればドアが透明になってしまう”液晶シャッター技術”を使ったドアを冷蔵庫に採用すれば、ドアを開けずに中身を確認することも可能になり、省エネになると同時に中が良く見えるようになり棄てる食品も減るかも知れません。
人間がつくる多くの社会のシステムも中身が見えない壁で覆われていれば、その中で働く人間達の志の高さには関係なく、腐敗が進むと考えられています。中身が見える組織なら、その組織の中で働く人に、自分が何をやっているのか気づく機会を与えることになるため、腐敗を防ぐためには公開する必要があるとされています。それでも公開のために手間や時間がかかりすぎれば、公開は進まないでしょうが、それがついでにできるようになれば、話は違ってきます。
スイッチ一つで中身が透き通って見えるようにできるインターネットという技術が急速に普及しています。手間や費用をかけなくても、気軽についでに中身が見えるようになれば、発見された頃には消費期限が切れて腐敗が進み、それが放つ匂いが我慢できないほどであるために、解体を余儀なくされてきたさまざまな組織もこれから先は事前に発見されて、棄てずに済むようになるかも知れません。
-2002/8/3
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