今から100年前と言えば1905年を指し、”過去”を意味していますが、「前を向いて歩く」という場合の「前」は、これから歩く未来に向いています。同じ漢字の「前」はなぜ正反対の意味を持っているのでしょうか?
「私の目の
前に(in front of me)あるのはノートPCの液晶画面ですが、5年
前に(5 years ago)使っていたのはブラウン管式の大きなモニターでした。」という具合に、同じ”前に”でも指しているモノが違います。前者は空間的なプラス方向を指し、後者は時間的なマイナス方向を指していて、その方向は逆になってます。つまり、時間的にはバックなので戻る方向になりますが、空間的にはフロントなので進む方向になります。
”前”を漢和辞典で引いてみると、前を構成する”月”はもとは舟だったそうで、その舟が進む方向を指すようになったようです。ひねくれ者でなければ、進む方向はたいてい”前”。しかも昔は前へ進むを”さきへすすむ”とも読んでいたようです。
これで、”前”が空間的な方向を指している理由はわかりました。しかし、時間的な方向をも意味することについての由来は、漢和辞典には載っていませんでした。これはどう解釈すれば良いのでしょうか?
それはきっとこういうことではないかと思います。「私のずっと前を歩いていた人がエベレストの山頂に着いたのは5分前だった」。という具合に、先人は5年前(バック)に目の前(フロント)を歩いていた。つまりいずれも後を追うに足る先人をイメージした言葉だった、ということにしておきたいと思います。
-2005/5/12
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