日本は昨年をピークに人口が減リ始めています。働く人の割合が減ってゆくため収める税金や社会保障費の負担が増え続け、高齢者も長生きすることによるリスクが増えるなどと、暗い話ばかりが聞こえてきます。人口が減ることによるメリットは無いのでしょうか?
たとえば幼児虐待が増えたのは、隣近所との付き合いが減ったことが原因の一つだとされています。地域社会のコミュニティが失われたのは、隣近所に頼らなくても暮らしてゆけるくらいに豊かになったのが原因だとされています。独居老人と呼ばれる一人暮らしの高齢者が人知れず亡くなれるのは、独居でもやってゆけるくらいに豊かになった証拠なのです。これはNEATが働かなくても生きてゆけるくらいに豊かであることと本質的には同じです。
たとえばアメリカには、コリアタウンとかチャイナタウンというコミュニティが存在します。なぜジャパンタウンが無いのかというと、日本人は豊かなので、群れなくともやってゆけるからなんだそうです。
人口が減ると言われると、なんとなく暗い未来を描いてしまいがちですが、我々のそうした意識は、実は我々の全体の意識のなかの一部に過ぎません。言わば氷山の一角です。我々の知らない潜在意識や無意識の世界では、求めがいのある対象を探しており、しかももうすでに、我々の考え方を変化させてきているように思います。
こうした変化が起こるのは、より優れた遺伝子を未来に残すという使命を果たすためだと思いますが、もうすでに人の欲しいものを決める価値観に変化が起きています。
たとえば物余りの時代に物欲だけでは先が見えているので、物を欲しがる時代から、旅行やもてなしなどのサービスを求める時代に変化してきています。日常の食材も産地を気にする時代に変わってきています。これを、潜在意識が時代の流れに合わせて自らの価値観や欲求を最適化している、と解釈するわけです。
このような社会は成熟社会と呼ばれています。成熟社会では、たいした成長が見込めないので退屈な社会でもあります。しかし退屈はしばしば優れた文化を生み出します。ギリシャならアリストテレスの時代に学問が生まれたし、日本の江戸時代には浮世絵が生まれました。
こんな時代には、いやいつの時代でも、我々は意識してその時代らしく振舞う必要はなく、自らの欲求を満たすべく忠実に行動することが、社会の繁栄につながることになるのです。アダムスミスが言う、神の見えざる手、というやつです。
自らの欲求のままに、たとえば筆を走らせることによって現代版の浮世絵のような傑作が、近いうちに日本で生まれるのではないか、と期待できる時代、それが人口減少時代のメリットだと思います。
-2006/12/14
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