”ブラジルからきた少年”というタイトルの映画があるテレビで放映され、その放送を観たことがあります。映画では、ヒットラーの再来を望んで彼の遺伝子を探し出し、彼と全く同じ遺伝子を持った複数の少年を誕生させることに成功しました。しかしこれだけでは生物学的におなじ遺伝子を持った”ヒト”を作り出しただけであって、同じ人間を作ったことにはなりません。
そこで同じ人間を作り出すために、社会との関わりを含めた環境を同じにする必要があるということで、映画の中では生まれた子供たちを、ヒトラーと同じ中流の公務員の家庭に養子に出していました。この映画の結末は社会道徳に従ったためか、企ては失敗に終わっています。
イタリアではクローン人間の妊娠があったと報道され、それは許されるべきことではないから規制されるべきだと、我が国の尾身幸次・科学技術担当大臣も主張しているようです。
クローン【clone】とは”全く同一の遺伝子をもつ”という意味になります。従って、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児のような自然なクローンの顔や形が酷似しているように、生物学的に同じ性質を受け継いでいることになります。
一卵性双生児でさえ、一方は犯罪者になり、もう一方はその人を裁く検事になることさえあるように、人間としては全く別人です。人と同じ遺伝子を持っているだけでは、人間と呼べないということは、オオカミに育てられた少女が結局人間社会では生きてゆくことができなかったことでも分かります。
いわゆる”クローン人間”の何を恐れて規制を呼びかけているのでしょうか?たしかにクローンが増えると不便にはなるでしょう。何しろ同じ顔をした”美男”や”美女”が増えるはずですから。その人が誰なのか識別するのに手間がかかるはずです。
クローンの時代になれば、一人一人の人間を識別する方法は考え出されるはずで、美男や美女ばかりの教室で先生が生徒が誰だか分からずに困り果てることもないでしょう。
それとも、美人が増えたら、現在美人であることに優越感を感じている人たちがその優位性を失うからクローンを規制すべきだと言っているのでしょうか?
クローンに危険性があるとすれば、同じ遺伝子を持った”ソメイヨシノ”という桜が、山桜とは違って、その性質があまりにも一様であるがために、一度に咲いて、あっという間に散ってしまうように、人類の歴史もあっという間に散ってしまう可能性が高まるということなのかも知れません。
-2002/4/16
●当サイトは全ページリンク・フリーです。連絡も要りません。
Copyright(C) 2000-2006 xSUNx(サン) all rights reserved.