キーボードを叩くとローマ字が平仮名に、さらにそれを漢字に変換させながら文章を書いているうちに、最近やたらに打ち間違いが多くなったと不思議に思っていたところ、それはどうも会社のパソコンの方がひどいことに気がつきました。
打ち間違いの原因は何なのか?ひとつ気が付いたのは自宅と会社で使っているパソコンの違いでした。自宅のパソコンは、キー入力を間違えても、その間違いをパソコンが推定して正しい文章に自動的に修正してくれる優れものの機能がついています。最初はうれしがって使っていましたが、そのうちこれが当たり前になってゆきました。
目で見てキー入力の間違いに気づき、その間違いを正すために手先を動かして修正するという作業は、面倒ではあるわけですが、この修正プロセスが繰り返されることによって、指が正しいキー入力を覚えてゆくようです。つまりこの手順はキー入力の上達のためには欠かせないプロセスなのですが、パソコンの方が勝手に間違いを直してくれるとなると、なかなか上達しないどころか、誤りが定着することになりそうです。
そして賢くないパソコンを使って文章を入力するときに、キーの打ち間違いが差分となって画面にドッと登場するようになったようです。
これはまた、キー入力の能力が退化している、と感じた瞬間でもありました。そして次に考えたのは、このような落とし穴は他にいくらでもあるのではないか、ということでした。
たとえばこれから先、安全対策と称してあらゆる車にセンサーが付いて、車間距離を測って運転者に代わって速度をコンとロールする時代がやって来るはずです。もうブレーキとアクセルを間違えても大丈夫、というわけです。これはこれで事故が減りありがたいことですが、問題はその便利さに皆が慣れた頃、旧式のおんぼろ車を運転したときに、その落差が不便さとなって、悪魔のようにやってくるに違いありません。
便利な道具は機械だけではありません。人の行動を後押しする考え方や思想も心には便利な道具です。金金余りのバブルな時代には”消費は美徳”という考え方が、物の価値を理解できない時でも、購買欲を後押ししてくれたのです。この考え方が染みついた後、不況になったらたまったものではありません。懐が寂しくなった分だけ、その落差が不便さとなって押し寄せてきます。
ますます泥沼化してゆくイラク問題も、アメリカの行動を後押ししているとされる、アメリカ人にとって便利な考え方が、いまや不便さとなってアメリカを襲っているように思います。”ものごとがうまく運ぶ考え方が有用であり真実だ”とするアメリカ独自の哲学が、神やネオコンの利用を促し、イラク攻撃を後押ししたのではないか、と思えます。
アメリカにとって、ことがうまく運ぶ考え方とは、イラクの石油利権を独占することを後押してくれる考え方を指しているようです。これではいつまでたっても、国際社会からの絶大なる支援は得られず、テロリストたちを勢いづかせるだけです。
解決策はごく単純で、アメリカが自らの間違いを良く観察して軌道修正する(石油の利権を他国にも譲る)ことなんだろう、と思います。私もささやかながら心を入れ替え、便利さにおぼれてしまわないよう、優れもののワープロ機能をはずし、打ち間違いは自分で修正するようにしました。
-2003/11/7
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