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首都圏を襲う大停電はあるのか?


 日常使っている電気を、もし東京電力に頼っているのであれば、テレビのコマーシャルで節電の呼びかけがされていることに気がついている人もいるかも知れません。実に穏やかで、ありがちな広告にみえますが、これは電力の三月危機を避けるための動きの一つだと言えます。なぜ大停電の危機がささやかれているのでしょうか?


<相次ぐ原子力発電所の停止>

 原子力発電所の定期点検でヒビ割れなどが見つかったとき、おそらく担当者は、”大勢に影響なし”、と判断できるレベルだったのだろうと思います。事実そうなのでしょう。ところが、原子力は反応している様子がイメージしにくいエネルギーです。

 そのしくみや正体が理解できれば安心して利用できますが、そうではない原子力の場合は専門家の言うことを信用して利用するしかありません。その専門家に要求されるのは”ひび割れ”が危険なのかどうかを自分で判断して外に出さないことではなく、ひびでも何でも公開してしまう”分かりやすさ”だろうと思います。

 もはや”ひび割れ”がどうのということが問題なのではなく、信用できない人たちが得体の知れない原子力発電所を管理することによって、将来取り返しのつかない放射能汚染が起こるかもしれない、という潜在的とも言える不安を呼び起こしてしまったことです。

 そうした”不安”をうち消すために、全国の原子力発電所で総点検が行われています。点検結果を国に報告し、OKが出れば発電は再開されることになります。

 再開されないまま発電所が停止され続ければ、電力の3割から4割が失われることを意味します。実のところ電力はすでに足りなっていて、使わなくなった火力発電所を動かして対応しているという状況のようです。(東京電力)


<インバーターエアコンの連鎖反応>

 発電能力が落ちても、電気を使わなければ問題にはなりませんが、夏の電力不足の原因とされるエアコンが冬でも使われるようになり、電力需要のピークは夏と冬の両方にあるとされています。

 電力会社から送られてくる電気はその電圧が時間と共に変化する交流方式で、そのパワーを乾電池などの直流に換算したときの電圧は100ボルト、一秒間に何回変化しているかを示す周波数は50ヘルツか60ヘルツです。

 この周波数をエアコンのなかで変えられるようにして、モーターをきめ細かくコントロールし、設定温度に近づけるように作られているのがインバーターエアコンだと言われています。

 インバーターエアコンは温度センサーから送られてくる信号に合わせて忠実に働きます。電力会社の事情には関係なく、設置された部屋で過ごす”ご主人様”を快適にするために最大限の力を発揮するように設計されています。温度が下がれば、それを検知して周波数を上げ、その周波数に連動してモーターの回転数が上がり、冷媒の気化と液化の循環機能を高めます。気温が下がれば下がるほど、外の温度を下げて、その分だけ部屋の中を暖めるエアコンが活躍します。

 各家庭や、事業所に設置され動いているすべてのインバーターエアコンがこうした動きをする訳ですから、寒くなればなるほど電力需要は自動的に高まります。一番寒くなるピークはいつ頃なのでしょうか?

 一年のなかで一番気温が低いのは一月の終わりから、二月の初めにかけて、つまり立春の時期ですが、これは平均気温の話なので、上空の寒気の動きで日々気温は変化しています。大部分の原子力発電所が停止する可能性が高いと予想される三月に寒気がやってきて気温が下がれば、需要の上限と供給の下限が重なり、電力が足りなくなる可能性があります。


<隣の人につかまって溺れないしくみ>

 電力が足りなくなったらすぐに停電になるのかというとそうではないようです。下がる気温の変化に合わせて使われる電力が増えるため、溺れる人が隣で泳ぐ人につかまることで助かるように、余裕のあるところから電力を借りるようにしているそうです。

 隣の人につかまられて溺れそうになった人が、また別の人に助けを求めるという連鎖が続けられるのは溺れていない人が残っている場合です。つかまる人がいなくなれば、皆で一緒に沈むことになり、ここで大停電がおこることになります。

 電力会社はこうした危機を避けるために、大口の需要家、つまり電気を多く使う事業所と契約を結び、電気が足りなくなったら、そこに供給する電力を制限するしくみをつくっています。しかし、それにも限界があります。


<失われる順番と備えの順番>

 停電になると電気が失われますが、それに伴って失われるスピードが速い順番に対策を取れば良い、という考え方が成り立つように思います。

 一番速いのは灯りだと思いますが、次はメモリー上のデータではないかと思います。データの消滅に要する時間は一秒とかかりません。これには、電池が入っているノートPCが頼りになります。次は生命を維持している体温です。この対策にはカイロや電気を使わない石油ストーブなどが有効です。

 他に足りない情報を補うための携帯用ラジオ、光を補う懐中電灯、そしてそれをうごかすための電池が必要です。停電になった後にコンビニに行っても売り切れ、あるいはレジが使えない、安全のためなどの理由でしまっている可能性があります。

 ちなみに、電話はバックアップされているので通じるし、電話機の多くは停電になると留守電やコードレスは無理でも、親機は電話会社からの電力で動くようになっています。携帯も使えるはずです。

 ただ、家の外では物騒なことが起きるかも知れません。

 「あんな宝の山をよく道の横に並べておけるもんだ。日本はすごいところだ。」と驚いている途上国の人がいました。たしかに、日本のどこにでも転がっている自動販売機には商品と現金が詰まっているうえに、機械そのものもかなり高性能で高価です。

 自動販売機の高級版とも言える銀行の現金自動支払機がショベルカーで持ち去られるニュースはもう珍しくなくなりました。火事場泥棒のような勢力が活躍するのは灯りや人の目が無くなるからだろうと思います。

 自分にとって大事なものは、停電になっても消えてしまわないようにしておくことは、大停電が来なくても必要だ、と言えそうです。

-2003/2/1



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