”しまった”そう思ったときには隣のプリンターがうなり始めた。ローラーが回り紙が送られ印刷が始まった。”他に人はいないし、どう考えても自分の操作ミス。このまま印刷を続けると数百枚の紙がムダになる。早く止めなきゃ”。
プリンターの前に立ちオフラインにしたら間もなく印刷が止まった。”ヨシヨシ”。そしてメイン電源を切った。”これで大丈夫。プリンターバッファーに溜まったデータは消えたはずだ。”
ところが、そう思ってプリンターのメイン電源を入れると、間もなく印刷が再開された。”どうなっているんだ、データは消えないのか?そうだ、パソコンにデータが残っているに違いない”。
プリンターの電源を切り、パソコンも終了させた。そして再起動。そしてまたプリンターの前に立ちプリンターの電源を入れた。
すると間もなく、またもや印刷が始まった。しかも文字化けしている。文字化けして、いよいよ意味の無くなった印刷物が連続して出力されている。「これはもう事件だ」。
”技術は進歩しているはずなのに、なぜこんな余計なことをするんだ”。
それから落ち着いて、パソコンのプリンターのタスクを調べた。
”そうか!”。
パソコンはタスク、つまりパソコンに与えられた仕事を生真面目にやり遂げようと頑張っていただけだった。そのタスクはファイルに保存されているらしくパソコンの電源を切っても消えることがない。
実に律儀にやり遂げようとしていたのだ。しかし、プリンターの電源が切れて、用紙サイズや文字コードなどの情報が消えたため、文字化けした印刷が行われる結果になった。事件はタスクの削除によって解決した。
この事件を起こしたパソコンの動機は、自らの使命を完結させたいとする、完ぺき主義がもたらしたと言えよう。しかも、プリンターとの連携が不十分だったため、文字化けを起こし、誰の役にも立たない、ムダな仕事を繰り返していた。
パソコンの世界も、縦社会だった。
-2007/9/20
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