もしあなたが偶然に、誰かと誰かの間で行われている電話を聴いてしまっても罪にはなりません。ところがそれを誰か別の人に話してしまうと罪に問われてしまうのが『通信の秘密』という法律です。
しかし、それにも拘わらず、世の中には進んで盗聴しようと試みる人々がいます。浮気の動かぬ証拠となる電話盗聴もその一つと言えます。加入電話の場合は原理的に比較的単純な装置を使って盗聴が可能です。
盗聴しようとするのはなにも探偵だけとは限りません。「国家も治安を守り、安心して暮らせる世の中をつくるため」という大義名分からさまざまな場面で発生する通信を盗聴しようと試みます。特に昨年は同時多発テロが起こりました。「テロリストたちの間で行われる情報のやりとりを事件の前に知ることができれば、悲劇を防ぐことができる」と捜査当局が主張すれば、反論するのは難しいことです。
かくして合法的に盗聴を行おうとする捜査当局は盗聴が難しいインターネットの世界で盗聴できるようなしくみをつくろうと躍起になっています。電話で人の声を電気信号に変換しても、その電気信号を途中でピックアップして人の声に変換すれば盗聴が可能です。これはなぜ簡単なのかと言えば、声の変化が電気信号の変化に比例しているからです。
ところが時代は変わってきました。人の声は電気信号に変えられただけではなく、声の変化には比例しないデジタル化が行われ、さらにデータは小さく細切れになり、ルートもその大きさもバラバラになって送られます。目的地では受け取ったデータを順番に並べて元のデータに戻すわけです。このTCP/IPという巧みな技を使っているのがインターネットです。
盗聴を試みようと途中でピックアップしても、データはバラバラです。その一部をやっとの事で手に入れても、意味のある情報とはなり得ません。IP電話とも呼ばれるインターネット電話は実は非常に盗聴されにくい仕組みになっています。
通信経路が攻撃を受けて寸断されても、確実にそして極秘裏に情報を伝えるしくみ(インターネット)をつくったペンタゴンに対して、何とかその要所(プロバイダー)を説得してやりとりを傍受しようと試みる捜査当局の戦いは永遠に終わることはなさそうです。
-2002/6/5
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