世の中の動きにどんなに関心が無い人でも、いま映っているNHKや民放各社の番組がテレビで映らなくなったら、さすがに何かが起きたことに気がつくはずです。EPやLPと呼ばれるレコードを聞くためのプレーヤーでは、どう逆立ちしてもCDを聴くことができないように、地上波デジタル放送は今のテレビのままでは映りません。
現在のアナログの地上波放送は2011年で放送が終了する予定だそうです。その頃には今のテレビでは放送を受信できなくなります。ところが、地上波デジタル放送の開始が来年の2003年から2005年に延期になると、アナログ放送の終了時期もずれることが予想されます。従って、現在観ているテレビでも壊れさえしなければ、今から9年からから11年間くらいは使えるということになります。
新しいもの好きならデジタル放送が開始されるやいなや、そしてどんなに関心の無い人でも、現在のアナログ放送が終了する頃には以下の選択を迫られることになります。
- これを機会にテレビを観ない生活をする
- 地上波デジタルチューナーを買う
- このさい、地上波デジタル放送対応のテレビに買い換える
2番目は割高なので、3番目を選択する人が大部分となるはずです。再来年からの約9年間に徐々に対応テレビへの買い換えが進むことになります。しかし、それにしても地上波をデジタル化するメリットは一体何なのでしょうか?
電車のなかで混んでくると、詰めて席に座るように促すアナウンスがよくあります。7名の定員の席に6人しか座っていない場合など、詰めれば7名、場合によっては8名座れることがあります。これと同じことが電波の世界で起きたことがあります。
それはAMラジオの10KHz間隔から9KHz間隔への変更の時でした。こうすることで、9局しか使えない電波のスペースが10局で使えるようになります。このときはほとんどの放送局の周波数が一斉に変更になりましたが、同じラジオのつまみを少しだけ右か左に回せばこれまでのように聴くことができました。
地上波のデジタル化ではチャンネルが変わるだけではなく、これまでの受信機がそのままでは使えなくなるわけですから、大きな変更です。大規模な変更であれば、効果もそれなりに大きいはずです。
デジタル化をすれば電波の同じスペースを利用して、4〜5倍のチャンネルを放送できるとされています。また、チャンネルを増やすのではなく、ハイビジョンのような高画質化に向かうこともできます。
それでも、個人的にはあまりメリットを感じません。多チャンネル化はCATVやCS、BSで実現しているし、ハイビジョンもすでに放送されています。これは、そうしたメリットを視聴者が受けるためと言うより、この地上波のデジタル化がPCのOSのアップデートや銀行のシステムの入れ替えのように、地上波テレビで使われている電波の基盤整備のための工事のようなものだからなのだろうと思います。
工事中はだいたい不便なので、これから先はこんなに良いことがありますよと、関係者は利用者に理解を求めることになりますが、あまり説得力を感じません。
同じ工事でも、まだGOはかかっていないようですが、埼玉、新宿、秋葉原などに予定されている400メートルから700メートルに及ぶ電波塔建設工事の方が、その高さゆえに注目を浴びそうです。
-2002/4/22
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