去年の暮れに買ったDVDレコーダーは、電源プラグを入れ直しても延々とローディングが続き、ついに修理に出しました。直るまで2、3週間はかかるそうです。購入前にネットの口コミで調べたときにも、動かなくなることがよくある、という噂は聞いていました。動かなくなる原因は何なのでしょうか?
動かなくなる直前に何があったのかというと、編集です。ハードディスクに取り溜めた映像の余分なところをカットとしようとしたところ、動かなくなったのです。これまでもこんなことはたまにありましたが、それでもプラグを抜いて電源を入れ直せば、2、30分で元に戻っていたのです。それがついにそのまま動かなくなりました。
DVDレコーダーはただカリカリ音を立てているだけでしたが、中では結構たいへんなことが起きていたのかも知れません。思うに、DVDレコーダーは従来の家電製品とコンピュータで使用されているハードディスクを組み合わせて作られています。似たようなものだと思う人もいるかも知れませんが、家電文化とコンピューター文化は結構違います。
それはたとえば、放送業界とIT業界が統合しようとしたときに起こるようなトラブルがここでも起きているに違いない、と思うわけです。ニッポン放送とライブドア、TBSと楽天に見られるように、どうしようもなく広い溝を埋めるために、とんでもないエネルギーが必要なように、DVDレコーダーの中でも、家電とコンピューターのせめぎ合いが起きているのです、きっと。
日米の標準方式では、テレビは一秒間に60枚の静止画を用いて動画のように見せていますが、この映像を録画するビデオのなかでは、ヘッドが1秒間に30回転しています。使う絵にタイミングを合わせてヘッドが回転している、というわけです。これは編集するときにも都合の良い方法です。
ところが、DVDレコーダーに使われているハードディスクの中では、磁気ディスクが回転してはいますが、映像の枚数とは何の関係もありません。編集するときには、その分余分な作業が必要になり、その分を専用の部品やファームウェアがやっていることになります。
編集のときに一番面倒なのは、家電文化とコンピュータ文化で切り口が違うことだろうと思います。ハードディスクには映像をMPEG圧縮して記録していますが、MPEGの場合前後の絵を組み合わせて圧縮が行われているため、どこでも切ってつなげていいというわけではありません。ところが、ハードディスクが採用しているファイルシステムの場合、切り口は別の都合で決まっています。
これはちょうど、鉄道にたとえられると思います。電車に乗るときには駅を利用しますが、これはもちろん、駅には改札がありホームがあり他の線への乗り換えにも便利だからです。ところが、たとえば都道府県や市町村の境界で突然降りろと言われると困ります。乗客はバスに乗り換えたり、線路を歩いたり、大混乱です。せめて次の駅まで乗せてほしいところです。
ハードディスクに記録された映像データを消去したり分割する際も、映像にとって都合の良いところではなく、セクタやクラスタという単位で切ってしまうため、中途半端に切られたデータを処理するために、結構面倒なことをやっているはずなのです。しかも、場所によっては、その大変さが異常なほどに増えることがあるのかも知れません。
そういうわけで、自分のDVDレコーダーがカリカリと音を出しながら動かなくなったときには、きっと中では、TBSと楽天のときのような、異文化間の衝突が起きているに違いない、と考えてあげてください。
-2005/11/4
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