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チャットの向こうのもう一人の自分


 はっきりした目的があってチャットをするのだとしたらおそらく我を忘れてその世界に身を置くことは少ないのだろうと思います。目的がチャットを行う本人が目的とは違った方に進むときにブレーキをかけると思うからです。今度の休みに会いたいと身元も知らない人を探す場合、2、3の質問をすれば相手がその目的に叶う人かどうかがまもなくわかります。そして目的に合わないとわかった時点でチャットは終了します。

 しかし、たいていのチャットはおしゃべりをしたい、あるいは話を聞いて欲しいと思いながら始めるのではないでしょうか?その目的を意識することなく始めたのであればのめりこむ自分を止める人はいません。

 日本語という壁の無い英語圏の国ではロボットチャットが話題になっています。ロボットと言っても実際はチャットの相手がこう言って来たらこう答えなさいという手順を記述したソフトウェアです。開発者はそのソフトウェアにカウンセリング手法をとりいれました。その結果ですが、ロボットは一度に30人と応対でき、うち10人はそのロボットを人間だと信じ込み、そればかりか自分をもっとも理解してくれる人だと思ったそうです。数十年も前に開発したそのソフトウェアに相変わらずだまされてしまう人が多いことに開発者はそのログを取っていたことに後ろめたさを感じながらも人間は少しも進歩していないと複雑な気持ちになったそうです。

 チャットの相手が男なら男が何を欲しているのかを知るべきです。悲しいほどに男は自分の本能を満たそうとしてあらゆる言葉を操りその目的を達成しようとします。やはりそうしたチャットから抜け出せなくなった女性も存在し警察に保護を求めたという例もあるようです。

 最近編者は男も女も自分というものの形を残そうとして動いているのではないかと考えることがあります。そのもっともわかりやすい方法はより好ましい異性との間に子供をもうけ自分達の遺伝子を後世に伝えることです。男は相手の女性の心の中まで強く感じるほと頭がよく出来ていないため直接的な行動に出やすいのだろうと思います。ある意味で欲張りな女性は男の体も心も欲しがります。

 そうしたわかりやすい形以外のところでも実はその形を残すことは可能です。それはあらゆるジャンルの”作品”と呼ばれるものが実はそうなのではないかと思います。

 チャットはただしゃべりたいという欲求を満たすだけではなく、チャットの向こうの相手がたとえ同姓でも異性でもより自分を理解している人だと感じたとき、その人に近づきたいという次の欲求が生まれます。より理解してくれる人とはより自分の価値を認めれくれる人でもあります。そんな人にめぐり合うにはたとえ言葉だけだとしても自分を飾る言葉ではなく自分をより正確に表現する言葉が良いのではないかと思います。チャットの中まで自分を正直に出さないのは悲しいほどにこころを閉ざし、もう一人の自分と向き合おうとしない人かもしれません。

-2001/01/01



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