わざわざ引き算をしてどうしようというのか、そう考えるあなたの精神は正常です。恋愛から愛を引けば恋愛と愛の違いがわかる。逆に恋愛からその違いを取り去れば愛が残る。つまりこのコラムは愛をより深く知るための試みです。
恋愛は"love"の訳語だそうです。これは恋愛の意味を知るためには"love"の意味を知る必要がある、と解釈できます。そこでさっそく、本棚にあるHigh
school Dictionaryで"love"を引いてみることにします。ちなみにこの辞書は、その昔古本屋で買ったもので、英語圏の高校生が国語の授業で使っているに違いないやつです。
引いてみると、"strong or passionate affection for a person of the
opposite sex".とあります。つまり、「異性に対する強烈なもしくは激情に支配された感情」。だいたい予想通りの意味でした。
これをなぜ恋愛と訳したのでしょうか?おそらく"love"が時間の経過と共に愛の成分を増やしてゆくからだろう、と思います。恋愛は恋に始まり次第に愛が加わり恋愛へと成長するのです。つまり、恋愛から愛を引くと、生まれたばかりの恋が残る、というわけです。
生まれたばかりの恋とは何でしょうか?それは相手をよく知らぬ段階で誕生する特定の異性への欲情です。この段階では相手を良く知らないため勘違い、つまり「はずれ」であるケースもしばしばです。
しかしそれが当たりなら、恋のお面を被った欲情に次第に愛が加わり深みを増してゆくことになります。何故に深くなるのかというと、それはきっと苦しみを知ることになるからに違いありません。対象となる異性が掛け替えのない存在であることに気づき、失いたくないと強く願うようになり苦しいのです。
しかし目を合わせれば踊るように体が反応することも知り、その振幅の大きさと共に気持ちも揺れるのです。
喜びの裏側には存在のはかなさへの絶望があることがわかります。恋人に対する感情から欲情を取り除いてもまだ多くの成分が残っているのなら、おそらくその大部分の成分は世間が『愛』と呼ぶところのものであり、恋愛はかなり深い段階にある、と言えそうです。
しかしもし、その感情を特定の異性だけではなく、その辺を歩いている人たちにも等しく感じられる人が、もしかしたら聖人と呼ばれる人たちなのかも知れません。つまり愛を感じ取れる希有な人々です。
恋人に対するそれを10としたとき、恋人以外の普通の人にどれだけ、その愛なるのを感じ取れるか、これで自分の”聖人度”が計れそうです。
-2005/1/14
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