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なぜ結婚しない人が増えているのか?


 ある日の朝いつもの通り道で、ある男女の会話を耳にしました。「この年になって男の人とつきあうのは・・・」という女性の声のすぐ後に、「そんなことはないよ。」という男性の声が続きました。声がする方に目をやると、七十代なかばから八十くらいのカップルでした。

 ”男と女はいくつになっても、そしてどんな時代になっても、惹かれ合うものなのなんだなあ”、そう思わせる光景でした。しかしそれならばなぜ、結婚しない人が増え晩婚化が進み、子供の数が減り、さらにはそのうち人口が減り始める、というのでしょうか?

 結婚しない理由についてのアンケートによれば、その第一位は男女とも「相手が見つからないから」というのだそうです。「結婚より仕事が面白いから」という人もいるそうですが、それは大勢に影響を与えないくらいに少数だとされています。このアンケート結果は何を意味しているのでしょうか?

 晩婚化が進み子供の数が減るのは先進国に共通の悩みのようです。アメリカの現在の人口は2億8千万くらいで人口は増え続けているようですが、移民が年間5百万人もいます。つまり、人口の2パーセントが移民によって増えており、しかもたいていの移民は貧しく子供を多く生みます。

 ところが多産なのは最初のうちだけらしく、メキシコから移り住んだヒスパニックも、最初は子供を多く生んでも、暮らしが豊かになるにつれ子供の数が減ってゆき出生率が下がります。

 一方結婚する理由を考えてみると、時代と共に恋愛結婚の割合が増え、見合い結婚は減っています。いわんや見合いとは名ばかりで親が決めた結婚相手と結婚するというケースはイスラム圏でも減っているとのことです。これは何を意味するのでしょうか?

 先進国がかつての貧しい時代から現在までの間に獲得してきたのは、まずは物質的な豊かさです。豊かさによって子供の数が減ることは上に書きましたが、次に獲得したものは個人の権利や自由だろうと思います。その自由の中には”相手を選ぶ権利”と”相手が見つからない場合は結婚しない自由”も含まれるはずです。

 何かと世間がうるさいから、このへんで身を固めようとして、あるいはその前に親や親戚らから、「いい人がいるんだけど結婚する気はないかい?」などという話に迫力がなくなってきました。

 これは単純に、出会いの機会が減った、つまり結婚相手が見つかる機会が減った、ことを意味します。おせっかいな人いなくなり、相手がいないなら急いで結婚することもないや、と考える時代に、結婚に踏み切るためには、結婚に伴うリスクを考えてゆらぐ理性を打ち砕く情熱が必要です。

 ところがご存じのように、その情熱の源泉となる恋愛感情というやつは、自分の意志で生み出すことができません。恋愛感情は、自分の意識が及ばない無意識の世界で生み出されるため、われわれはただ、その誕生を知らされるのみです。

 男嫌いを自認する女性たちや、女嫌いを自認する男性たちさえも、その態度をコロっと変えさせ、結婚に導く無意識の世界の総合的な判断は、時代の流れには追いついていない、ということでしょうか?

-2003/11/9


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