西日がまぶしい夕方の電車のなかで、私は背後で若い二人の会話を聞くことになった。ドアの前に立ち外を見ていた私の右横には男子生徒が、同じ右側の斜め後ろには女子生徒が立っていた。
察するところ二人の身長差は20センチくらいで、おそらく男子生徒が178センチくらい。女子生徒は158センチくらいで、同じ高校に通っているらしい。二人は、同じ高校に通うことになった”因縁”を、突き放し加減で、しかし突き放しすぎない程度に楽しげに語っていた。
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「XXに行こうと思って一次推薦を受けたんだけど落ちてしまった」と女子生徒が言うと、「受かってしまえばよかったんだ」と突き放す。しかし、「俺も本気でXXに行こうとしたんだけど、無理じゃないのと言われてやめた」とゆり戻す。そんな会話が延々と続いた。
話の内容は進展することもなく意味もなく、しかも矛盾に満ちていて結論も出ない。しかし、二人の間の距離を測るという意味では大いに価値がある。
二人の関係がくっつき過ぎないように、しかも離れすぎないように、お互いに無理なく話せる関係を、世間では、仲の良いカップル、あるいは、恋人同士とさえ呼ぶことがある。
そんな二人の会話は、途中駅で一方が降りることによって終わりになった。
-2006/6/8
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