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独身と結婚生活を隔てる壁


 独身と結婚生活の間を行き来するのは簡単ではない。いくら一人で結婚を望んでも二人でその壁を超えねばならず、自分一人だけで超えようとすると伴侶となる人を抱えて超える力が必要だ。周りを取り囲む人たちの多くが戻り来ることが無いようにと壁を越えることを支援しながら壁を高くする。それは多少の困難があっても戻り来ることが無いようにと願うからだと思う。

 結婚式を盛大にすればするほど、結納金が多ければ多いほど、結婚を祝福する人が多ければ多いほど壁は高くなる。インディアンは大事な娘を嫁にやるとき馬を2頭、そして向こうを指差しながらその山や田畑もつける。それだけ生活に大事なものをつけるのだがそれは結納金に似ている。

 独身生活をしている人にとって壁に隔てられた向こうの結婚生活は見えない。結婚生活をしている両親の姿に触れることはあっても両親の日々の心の動きまで窺い知ることはできない。だから壁を越えるのは想像力だと思う。希望がその想像力を育てる。恋がその希望を膨らます。

 結婚は墓場ではない。それは牧場の牛や馬や羊と人間を隔てる柵のようであって、柵を横目でにらみながら前へ進むことになる。墓場は前方にあり結婚は横にある。ある人は壁を越え、ある人は越えない。それでもそれぞれの生活がある。しかしその柵はコンクリートの壁のように壁の向こうを知ることは出来ない。

 壁を再び超えて戻ってきた人はこう言う。戻るなら早いほうがいいと。しかし、その言葉は壁を再び越えて戻ってきた人を慰めるためにあるのであって一度壁を越えて結婚生活をしている人たちのためにあるのではないと思う。実は昔ほど壁は高くない。再び帰るために超えるべき壁は驚くほど低くなっている。だから早いほうが良いのではなく、いつでも超えられるからこそ危ういと思った方がいい。

 つねに我々は壁のいずれか一方にいる。横には壁があり、向こうの世界を知らない。いずれの世界が良いかというより、いずれの世界に住みたいかだと思う。壁を越えたいのなら二人でちからを合わせたほうがいい。そしてどうせ超えるなら希望が超えることを楽にしてくれる。でもいずれの世界も前に向かって進むことに違いは無い。いすれが楽しいかというより、そのいずれを楽しもうとするかだと思う。

 -2001/1/20




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