二十代三十代の若い人でも、仕事が続けられなくなるくらい深刻な物忘れに悩む人が増加しているというニュースを良く耳にするようになりました。原因は会話不足ではないかとされているようですが、これはどう理解すればよいのでしょうか?
年齢を重ねれば物忘れがひどくなることは良く知られています。話したいことが思い出せなくなると、自分もトシかな、と考えたりします。記憶場所となる脳細胞の成長が20歳くらいで終わり、後は少しずつ死滅しています。しかし世の中には、90歳を越えてもしゃんとしている人もいます。そんな人たちの特徴は、好奇心が旺盛で異性への興味を失わない、ということのようです。
つまり、忘れる以上に新しいことを覚えることができればボケない、と言えると思います。しかし、若年性健忘症の場合、同じもの忘れでも脳には何の異常もない、とされています。コンピューター風に言えば、ハードには問題ないが、記憶したことを思い出すための検索用ソフトに問題がある、という言い方ができると思います。
若年者は当然の事ながら肉体が若いため使える脳細胞が少なくなっている、とは考えられません。一度覚えたことを思い出すためのメカニズムに何らかの異常が起きている、と考えるのが自然です。人はどうやって覚えたことを検索し思いだしているのでしょうか?
怒ったときに、かつて怒ったときの記憶が蘇るように、感情が記憶に強く関与していることは良く知られています。また音や匂いや皮膚感覚も記憶を鮮明に蘇らせてくれます。覚えたことを思い出すための、検索のためのキーワードには、感情や感覚が複雑に絡み合っている、と言えると思います。
適切なキーワードを組み合わせないと目的の情報がなかなか見つからないように、生活に感情や感覚の変化が少なくなると、物を思い出しにくくなる、と言えそうです。
たとえば苦手な人に自分の方から話しかけてみることが苦くて良い刺激になりそうです。しかしなぜ意識してまで自分に刺激を与える必要があるのでしょうか?それはこういうことではないか、と考えています。
乗り物は我々の脚力を拡張してくれる便利な機械であると同時に、頼りすぎると我々の足腰を弱らせてしまう危険な機械でもあります。一方、炊飯器からPCまで我々を取り巻く便利な機械の多くにはコンピューターが組み込まれていますが、これらは我々の脳力を拡張してくれる便利な機械であると同時に、頼りすぎるとその分脳の働きを弱めてしまう危険な機械でもあります。
若年性健忘症という脳力の低下の原因はそれではないかと思います。
-2005/3/10
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