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良い人がうっとうしく見えるとき


 善良な市民の敵となるはずの泥棒や殺人者の考え方に共感できるときがあります。もちろん、泥棒や殺人者ばかりがこの世の中に増えてしまうと困った社会になるので、行為そのものに賛成しているわけではありません。

 過激派の活動が目立っていたとき、成田空港に知人を迎えに行ったことがあります。予想以上に警備が厳しく、そればかりか警備員の態度がふてぶてしく、実に不快でした。それ以来成田空港にたいする個人的なイメージは”不快”になっています。

 ”過激派から国民を守るために働いているのだから国民が警備に協力するのは当然だ。”と考えるようになったときから、頼りになる存在から、うっとうしい存在へと変貌しているように思えます。

 ぼけ老人を預かって介護をしている病院には安全のためと称して身体拘束をするところも多いようです。”自分たちは老人福祉という尊い仕事をしているのだから、言うことをきかない老人を縛る権利がある”とでも考えているかのようです。

 ”身体拘束”は罪を犯して刑務所に入っている人にたいしてさえ、禁止されています。

 名古屋刑務所では受刑者に対して革手袋を使用したばかりか、受刑者に暴行を加えたために処分されています。”良いこと”をしている刑務官の言うことを受刑者が聞くのは当たり前だ”と考えるようになるところから始まっているように思えます。

 これらはいずれも、良いことをしていると信じる人々がしばしば落ちる穴と言えそうです。なぜ、こうした罠にはまるのでしょうか?

 ”尊い行為”に見合う報酬を得ていないと言う不満からきているのではないかと思います。報酬とは金銭的なものだけではなく、医療行為者なら患者からの感謝の言葉などにみられるプラスの反応、世間の評価などです。とくに、ボケ老人とか、受刑者などから感謝の気持ちを読みとるのは難しいと思います。

 国のために働いている官僚にもこの考え方が見られるようです。”尊い働きに見合う報酬を得ていない”という判断から、天下りくらいは当然の権利だと考えるようになるようです。

 こうして、やっているはずの”尊い仕事”がいつの間にか世間に出せないような恥ずかしいことへと変貌し、その事実を隠そうとして秘密主義になり、さらに事態を悪化させます。これは中で働く人にとっても、利用する人にとっても不幸なことです。

-2002/12/25


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