炭疽菌【anthrax】はバチルス【Bazillus(ドイツ語)】科バチルス属の細菌で、胞子は土の中に存在し、炭層病の病原菌だとされています。炭疽病は希にヒトにも感染しますが、もともと牛や馬、羊などの家畜に発生する伝染病です。炭疽菌はどのようにヒトに感染し、どんな症状を示し、さらにどんな治療方法が有るのでしょうか?
- 細菌についての基礎知識
同じバチルス科の細菌には枯草菌があり、自然界に多く存在します。味噌や醤油の中にも存在し、糸を引く納豆をつくる納豆菌もこの枯草菌の一種だそうです。特に日本人にとっては身近な細菌であることが分かります。
一方同じバチルス科のボツリヌス【botulinus(ラテン語)】菌は土や植物、魚類のなかに存在し、食べ物の中に入ると細菌が発芽するときに毒素を出し、これが食中毒を起こすことになるとあります。
細菌は単細胞の微生物で一般的に一個が二個に分裂して増えてゆきます。自然界のあらゆるところに存在し、生態系の一役を担い重要な役割を果たしています。もちろん体の中でも活躍し、掌(てのひら)にも雑菌と呼ばれていろいろな菌が存在します。細菌の中には病原性をもつものもありますが、病原性を持たない多くの雑菌が病原性のある細菌の進入を防ぐこともあるため、殺菌をしてクリーンにしすぎると逆効果になることもあるようです。
オスとメスがあれば、卵子と精子と呼ばれる生殖細胞が受精することで増えてゆきますが、オスメスの無い無性生殖の場合は胞子が植物などの生殖細胞であるため増えてゆくたびに胞子ができるることになります。胞子が無ければ増えないとも言えます。何千年も前の種が発芽したという報道を耳にすることがあります。胞子はそのように保存ができ、条件がそろったときに発芽して増えてゆくことになります。
さて植物なら胞子があることは分かるのですが、細菌にも胞子は有るのでしょうか?調べてみると一部の細菌には栄養素が欠乏すると胞子をつくるものが存在し、それを細菌胞子と呼んでいるようです。
- 炭疽菌の感染のしくみ
ここまで細菌についてのおさらいをしたところで、炭疽菌について考えてみます。炭疽菌は胞子の形で五十年以上も生存すると報告されています。先にも書きましたが、胞子は菌そのものではなく生殖細胞であると考えることができるため、有性生殖の種や卵と同じように菌として働かず眠っていることになります。この状態では栄養が要らないため、封筒などに入れて移動が可能だということになります。
種が水分や温度などの条件で芽を出すように、炭疽菌も条件がそろえば菌として働きはじめることになります。炭疽菌がばらまかれた場合、呼吸器系に入り、さわった場合は皮膚からはいりこむことになります。胞子は体内に入って本来の菌として働くようになり、増殖を続けることになります。このとき、食中毒を引き起こすボツリヌス菌と同じように毒素を出し、血液内に進入し、出血や細胞組織を破壊することになります。
- 治療法はあるのか?
致死率が高いからこそ生物兵器として各国で研究されているということは予防法も研究されているはずです。炭疽菌はその感染経路から次の3種類に分類されるようです。
- 皮膚炭疽(皮膚感染)
- 肺炭疽(肺からの感染)
- 腸炭疽(腸からの感染)
皮膚からの感染の場合は赤くなったりその後黒くなったりして外傷が現れますが、抗生物質によって治ることが殆どだそうです。逆に吸い込んだり飲んだり食べた場合には外傷が無いため、他の食中毒のように下痢や発熱の症状が現れて死に至ることになり、治療が難しくなります。
- 自然界の炭疽菌は大丈夫か?
報道によれば、米国内でも年に1,2例くらい牧場や皮革業者の従業員が炭疽病にかかっているそうです。日本の土の中に存在するはずなのですが、炭疽病にかかったという日本人の話は聞いたことがありません。気にしないほうが良いと考えることができます。そう考えないと、土のついた野菜にたいして無用な拒否反応を示す人が現れるような気がするからです。
■参考リンク
-2001/10/20
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