何とも物足りなくて、大事な物を失ったような、そして一つのことばかりを考えて、せつないとか寂しいとかいう感情まで呼び起こす状況。自分の体の中で起こる心の動きをここ一ヶ月ばかり観察してきました。
恋によく似たこの想いの原因は残念ながら恋ではなく禁煙によるものです。禁煙に興味のある方ならタバコの中に含まれるニコチンが脳の中でどのような働きをしているのか聞いたことがあると思います。
ニコチンとは自立を妨げるありがた迷惑な存在とも言えそうです。もともと脳の中には気持ちを落ち着かせるためのセロトニンとか、興奮をもたらすドーパミンとかが作用して、ストレスなどがあっても自動的にそれを和らげる”耐性”が備わっているはずなのです。
ところが働き者のニコチンがやってきて、代わりに働いてくれるため、本来の脳内物質の働きが弱くなってしまいます。これは頼りになる自分以外の働き者がさっさと仕事を片づけてくれるのでその人に頼るようになり、いつまで経っても一人前になれない状況にどこか似ています。
脳内物質が人間の感情をコントロールしているということはニコチンもまた人間の感情をコントロールしているということになります。感情が向かう方向に進もうとする自分の行為を正当化するために、理屈や言い訳が付いて回ることは良くある話で、これが喫煙肯定論につながっているのかも知れません。
こうしたニコチン中毒のメカニズムが、政策的には税金徴収のメカニズムのなかに組み込まれているという事実は考えようによっては恐ろしい話です。最近はだいぶ変わってきましたが、かつてはCMによって、タバコが一服の清涼感をもたらすというイメージが吹き込まれ、国民をニコチン中毒にして、安定的に税金を取るというしくみが結果として出来上がっていました。
吸うか吸わないかは個人の自由ですが、これまで考えたこともなかった結果としての徴税のしくみを、これまで知らされてこなかったとすれば、情報を与えてこなかったことが罪となって、今後は日本でも米国のように国やタバコメーカーが訴えられることが十分に予想されます。
「なんだか嫌な話だね」と言いながら、ここで一服・・・ ではなく、コーヒーでも飲みますか。カフェインなら中毒にはならないようです。
-2002/3/2
-2006/5/17 タイトル変更
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