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痛みは何のためにあるのか?


 ここのところ奥歯が痛み始め、その痛みが続くようになって我慢できなくなって、歯医者さんへ行って来ました。残念ながらまだ痛みは続いていますが、少なくともこの歯の痛みは、自分自身を歯医者さんへ連れてゆくことに役に立ったわけです。

 歯の痛みという不快感を味わいながら、それでも時間が経てばそのうち収まるに違いないと、何の根拠もない期待は見事に裏切られて、夜も眠れないくらいに痛み始めました。歯が痛くて苦しむ夢までは見なかったので、そういう意味では不幸中の幸いです。

 ”人間は不快を避け、快を求めるために行動する。”自分自身はまさにこの不快を避けるために歯医者さんへ向かったわけです。行った結果感じたことは、「もっと早くゆくべきだった」という、人間的な進歩の後が感じられない感想です。

 素早く反応しないと火傷をしてしまう場合は、痛みが脳に伝わる前に脊髄で判断が下され危険を避けるようなしくみになっているそうです。痛みなどの不快なものから遠ざかりたいと感じるのは根本的は防衛機能だと考えることができます。

 生物としての防衛システムが自分の体のなかでも働いていることになりますが、人間は場合によってはオシッコを我慢して痛くなる方を選んだりする社会的な存在です。

 人間関係のなかで感じる精神的な痛みもそこから逃げ出すことを求める警告であるに違い有りません。ただ、そこから脱出する具体的な方法が見つからない場合がしばしばです。しかし、あらゆる機会を捉えて、脱出を試みようとする動きは静かに進行中であるはずなのです。なにしろ、あまりにも根本的は自己防衛機能ですから。

 手を入れたお湯が熱ければ、火傷を防ぐために手を引っ込めるのは誰が考えても正解です。ところが相手から発せられた自分に対する不快な言葉が必ずしも双方を遠ざけるためにあるのかどうかは分かりません。同じ言葉でも誤解によって心地よく感じたり、不快に感じたりします。

 不快な言葉は自分に対する警告です。しかも単純にそこから遠ざかるだけでは、かえって失敗を招くかも知れない、謎解きの必要な警告です。

-2002/3/6




   


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