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「胃カメラ(内視鏡)検査」体験記



 何が悲しくて人は胃カメラを飲むのか。20年くらい前に胃カメラを飲む苦しみを先輩から聞いて以来、私はバリウム検査でお茶を濁してきた。ところがここのところ胃のあたりの調子が悪い。内科を受診したら胃カメラ検査が必要だと言われた。観念して受診することにした。

 胃カメラ検査は受診者が多いようで、三ヶ月待って検査の日がやってきた。検査を前にすると、さすがに胃カメラを飲む自分の姿を想像しないではいられない。

 それにしてもなぜ胃カメラ検査は苦しいのだろうか?美味い料理と胃カメラの違いは何なのだろうか?

 人間の体は、栄養を正しく摂取するたために、体に必要なものを美味しく感じ、毒や異物を不味く感じるように味覚が発達しているらしい。

 未来の人間は、胃カメラを「体に必要な栄養」と判断できるまでに進化し、「美味しい」と感じるようになるのかもしれない。しかし、今は21世紀。胃カメラは異物であり、飲み込めば異物感を感じて吐き出すべきものだ。胃カメラを苦しいと感じるのは、体が健康である証拠だ。

 つまり胃カメラ検査では、拒否反応を鈍くするために、薬を使って体を一時的に「不健康」な状態にする必要がある、ということか、などと考えながら待合室で待った。

 待合室の席に着いてから15分経った頃、胃の中をキレイにするための飲み物を飲んだ。それから間もなく、麻酔のための飲み薬(一回目)を飲んだ。味は甘いシロップのようだが、どこかに木の根のような苦味がある。時間が経つにつれ喉の感覚が麻痺してきて、つばを飲み込みにくくなってきた。

 さらに15分後に二回目、そして5分後くらいに三回目を飲んだが、その頃には喉の中の麻痺具合も、歯医者の麻酔で口に感じるような痺れを、喉に感じるようになった。それからさらに、肩に胃の運動を抑えるためらしい注射をうってもらった。

 それから間もなく検査室に入り、氏名を言ってベッドの上にくの字に曲がって横になった。口にマウスピースを咥えると、やがてその中を胃カメラが通っていった。喉の辺りに圧迫感を感じたが、それより先は、何かが入ったよう気がする程度。空気が送り込まれるとそれなりにふくらみを感じた。それらは何とも言えない異物感ではあるものの、激しい吐き気はない。

 この頃には「まな板の上の鯉」状態で、体の力を抜き、己を虚しくして、吐きたくなったら吐けばよし、と覚悟を決めるしかなかった。カメラは何もない胃を通って十二指腸に進み、潰瘍を二箇所見つけて10分で検査が終わった。

 潰瘍が見つかったのは収穫だった。これからは薬で治療することになるが、発見が遅れ症状が悪化すると手術が必要になることもあるらしい。

 検査の後、麻酔は一時間くらいで切れ、喉の調子も戻り、昼食は普通にとることができた。

 看護師さんの話によると、胃カメラで苦しく感じる程度には個人差があるらしい。いちばん違和感を感じるのは喉を通るところなので、鼻を通す最近の検査ならかなり楽になるのかもしれない。

-2007/5/2


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