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電子レンジは危険なのか?


 「もう少し負けられないか」と値切る姿は買い物が交渉であることを教えてくれます。売る側は高く売りたいし、買う側は一円でも安く買いたいと考えます。これが売り手と買い手との間で繰り広げられる闘いであるのなら、フェアに行われるべきです。

 ところが、物を売る側と、買う側では売る側の方が有利だと言われています。次々に新しい品物が現れれば、それらについての正確な知識を持つことが不可能になるからです。

 ということで、未知の”物体”に対して、”何となく危なそうだ”と感じたら、買わないようにするのが賢明です。世間の評価が落ち着くまで待てば、価格も下がり買いやすくもなり安心です。


<携帯電話は危険なのか?>

 携帯電話を使うと記憶力が低下する、といった噂が流れたように思いますが、もしかしたらそれを主張した人は、携帯電話を使う人のマナーの悪さに腹を立て、それを指摘したものの無視されたため、”携帯を使いすぎたために記憶を喪失、バカになってしまったに違いない”、と信じたかったのかも知れません。総務省の調査結果によれば、”現時点では・・・健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない”、となっています。

 電子レンジを使うと食物の細胞が破壊され栄養素が失われてしまうとか、あるいは電子レンジから漏れる電磁波が危険だ、と指摘する人もいるようです。電子レンジは危険なのでしょうか?


<見えない電磁波に対する恐怖>

 未知なる物、見えない物、正体の知れない物、それらは底なしの恐怖を呼ぶ物と言えそうです。電子レンジでは食べ物を加熱するためにマイクロ波と呼ばれる電磁波を利用していますが、その電磁波は見えません。

 でも電波に代表されるように広く利用されるようになったのは、その見えない電磁波を測定器を使って見えるようにしてきたからです。

 電子レンジで使われている周波数は2.45ギガヘルツで無線LANと同じ周波数です。どれだけ遠くまで届くかを調べるために電界強度計という計測器が存在し、同じ機械で電子レンジから漏れる電磁波を測定することが可能です。

 太陽から受ける光や熱エネルギーも電磁波ですが、電子レンジの電磁波とどう違うのでしょうか?


<ありがたい電磁波と嫌な電磁波>

 太陽からはさまざまな周波数の電磁波が放射されているそうです。春の到来を教えてくれる日向ぼっこの暖かさは遠赤外線と呼ばれるありがたい電磁波です。

 日光浴でシミやそばかす、皮膚癌をもたらす紫外線はどちらかと言えば、嫌な電磁波です。

 特に皮膚癌の原因になるとされる、より波長の短い紫外線はオゾン層が薄くなると地球に届くようになる、怖い電磁波です。

 浴びすぎるとDNAを破壊するとされる放射線のX線や、ガンマ線も太陽から放射される怖い電磁波ですが、これは幸いなことに大気に邪魔されて地上まではほとんど届きません。

 七色の光も太陽から放射される電磁波で、実にありがたい電磁波と言えます。

 電子レンジで使われているマイクロ波という名の電波も電磁波で、太陽から放射されているそうですが、可視光線に比べると弱いと言われています。


<パワーを伝える相手を選ぶ電磁波>

 遠く離れた太陽からパワー(エネルギー)が地球に届いているということですが、このスピードが非常に速いのも良く知られた特長です。この電磁波に情報を乗せれば、テレビやラジオやインターネットを離れたところで楽しめます。

 パワーを遠くへ届けることができることから、宇宙で発電した電力をマイクロ波を使って地上に送る構想が生まれたり、戦時中には飛行機を打ち落とすための武器を作ることも考えられたそうです。

 電磁波は情報やパワーを遠くに届けることができますが、肝心なのはその情報やパワーが受け手にどう作用するかです。テレビやラジオには周波数やチャンネルがあって、受け取る人の好みによって選ぶことができることから、害を最小限に益を最大化することが可能です。ところが、自然界ではさまざまな波長を持つ電磁波には受け取りやすい相手が決っていて選択の余地がありません。それでも、そんな事情はお構いなしに必要な分だけ受け取れば益になり、必要以上に受け取れば害になります。


<益になる遠赤外線>

 波長3〜25ミクロンの遠赤外線は生物を構成する有機物に吸収されやすいことが解明されたこともあって、遠赤外線を出すことが知られている炭ブームが起きているようです。このブームにはかなり尾ひれがついているような気もしますが・・・。

 有機物も木炭も炭素を主成分とすることや、宇宙に存在する炭素イオンが遠赤外線を放射していることを利用して観測が行われています。吸収しやすいと言うことは、放射しやすいという意味でもあるようです。

 ”木炭が加熱されることで遠赤外線を放射し、それがタンパク質などの有機物から成る人間に当たれば、その遠赤外線を吸収して体が温まる。”という手順になります。しかし、炭の種類や有機物の構造によって、吸収する波長は微妙に違っているはずです。

 ということは、同じ遠赤外線でも肉を焼く場合と魚を焼く場合とでは最適な波長が異なるはずです。魚の外側を構成する物質をより暖めやすい遠赤外線を当てるなど、焼き具合を調整できそうです。


<電子レンジのマイクロ波は水分子>

 遠赤外線は動物の主成分であるタンパク質などの有機物に直接作用して暖めることから、暖房や調理に利用されることが分かりました。

 「電子レンジではマイクロ波を使って食物の水分子を加熱している」と説明されていますが、そもそも”熱”とは何なのでしょうか?

 熱は物質の分子レベルの、並進、振動、回転などによって蓄えられているエネルギーであるとされています。たとえば、振動であれば水分子()を構成する酸素原子と水素原子の間が伸びたり縮んだりして振動します。

 日常見慣れた、ボールの動きは次第に熱に代わってしまうため、動かなくなりますが、分子レベルなら、熱に代わろうにも、動きそのものが熱を蓄えていることになるため、運動の形が変わるだけで、絶対零度にならない限り続くことになります。

 暖めたい物質がそれぞれ持っている振動周波数に近い電磁波を放射すると、効率よくパワーを伝え、加熱することが可能になるようです。水分子の共振周波数と電子レンジで使われている周波数はどうなっているのでしょうか?


<水分子とマグネトロンの波長の違い>

 マイクロ波を作り出すために利用されているのがマグネロトロンと呼ばれる真空管ですが、市販されている製品の仕様を調べてみると、その発振周波数は2450〜2460MHzとなっています。

 水分子がもっとも吸収しやすい周波数は2.2GHzとされていることから、ずれがあることがわかります。このずれはどうしておきたのでしょうか?

 マイクロ波の中でも産業用、科学技術用、そして医学用としてISMバンドが国際的に割り当てられており、電子レンジではこの(2400〜2500)なかの2450MHzが使用されているとのことです。


<電子レンジは危険なのか?>

 買い手である消費者は買い物をするにあたり、劣位にあるという考え方から、消費者をまもる法律が必要だと言うことで、PL法、クーリングオフ、電安法等があります。

 このルールで十分なのかとか、ちゃんとそのルールが守られているのかという問題もありますが、電子レンジなら電安法(電気用品安全法)によって漏れる電磁波のレベルが規制されているようです。

 同じ周波数帯を無線LANや携帯電話でも使っていますが、使う周波数を次から次に切り替える使い方や、ノイズが多い場合には転送速度を下げるなどの方法で、妨害を見かけ上減らしているようです。

 濡れた猫を実際に電子レンジの中に入れて乾かそうとしたところ、猫が死んでしまったために、どうしてくれるんだとメーカーに訴えた人が居たそうです(*1)。こうしたことが起きるのは、電磁波が見えないためだろうと思います。


<結論>

 電磁波が見えないだけに結局よく分からない電子レンジですが、火を使わないので一酸化炭素中毒にならない、火事にもなりにくいという利点があることもたしかです。過去の死傷者の数をから言えば、火が見えてわかりやすい調理器具の方が実は危険なのかも知れません。

-2003/1/20


*1)
この話は2007年現在都市伝説であるとされています。
追記: 2007/5/30



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