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しゃべるチンパンジーとクローン人間の関係


 人間は”ヒト”として生まれ、人との関わりの中で”人間”として成長すると言われています。もし、チンパンジーが人との関わりの中で成長した場合どうなるのでしょうか?

 一度人がオオカミに育てられてしまうと、”人間”に戻ることがどれだけ難しいかはよく知られているところです。

 ”チンパンジー『カンジ』は多くの言葉を学んだ”というニュースが2003年1月1日付けのBBCニュースで報告されています。

 このニュースは『New Scientist Magazine』に掲載されたもので、”人の間で成長したチンパンジーが話す能力を身につけたかもしれない、”と主張しています。

 ピグミー・チンパンジーの『カンジ』が「バナナ」、「ブドウ」、「ジュース」および「はい」に対応した音を発声していることを発見したというものです。

 ”しゃべるチンパンジーがいても何の不思議もない”と個人的には考えていますが、このニュースの興味深いところは、”環境によってずいぶん違うチンパンジーに育ってしまう”ことです。

 最近騒がれているクローン人間にも通じるものがあります。クローン技術は、ある人間と同じ遺伝子を持ったもう一人の人間を生み出す技術と言えますが、当然のことながら両者は年齢や育つ環境が大きく異なるため、姿形は似ていても全く別の人間であると言えます。

 忍者や孫悟空のように分身の術によって作られる”分身”のイメージとは明らかに異なります。クローン人間は想像よりはるかに地味な存在といえます。

 問題があるとすれば、それは体細胞から遺伝子を取り出し卵子と組み合わせて、人工的に”受精卵”を作る過程で遺伝子が傷つかないだろうかということです。設計図の一部が破れてしまえば、正常に成長する可能性は低くなります。

 一番大きいと思われる問題点は生まれてきた人に対する扱いです。生まれてしまえば、一人の人間です。個人として幸せに暮らす権利があります。クローン技術によって生まれてきたことで特別視され、正常な生活ができないとすれば、こちらの方が大きな問題です。

 異性との間でミックスされた遺伝子の形で自分の子孫を残すか、あるいは自分と同じ遺伝子を子孫として残すか、いずれのかたちであっても子孫を残すことが本能である限り、それをやめさせることはできないでしょう。

 ”倫理”はそれぞれの社会の秩序を守るために個人が持つべきルールであると考えることができます。したがって、社会が違えば倫理も違います。別の社会に自分たちの”倫理”を押しつけることはできません。

 倫理的に正当性を持つ”社会”から先にクローン技術は広く利用されてゆくものと思われます。その社会と同じ考え方を持つ日本人がいれば、当然その人はその社会に救いを求めることになります。もうすでに、そうなっているようですが・・・。

ー2003/1/2


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