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太ったソクラテスが語る『植物人間』


 世の中には失礼な話があるものです。「太ったブタであるよりは痩せたソクラテスであれ」なんてブタが聞いたら怒ります。もしも痩せたブタがいたならこう反論するでしょう。「我々を太らせて食おうとしているのは君たち人間じゃないか」。固定観念とは恐ろしいもので、実際のところ我々は痩せたブタや太ったソクラテスを想像することはまずありません。

 「植物人間」という言葉も植物が聞いたら怒るでしょう。なぜなら、動けないから植物状態、そんな状態にある人間だから植物人間という論理だからです。もしも世の中に太ったソクラテスがいたなら、植物に代わってこう反論するでしょう。「植物人間は動けない人間の事ではなく、より進化した人間のことだ」と。さらに話は続きます。「理屈は単純。動き回らずとも生きてゆけるのが植物であり、動き回らねば生きてゆけないのが動物であり人間なのです」。

 それならば、進化した人間としての植物人間はどんな姿をしているのでしょうか?「それは自ら光合成を行うことができる人間です。髪の毛は緑色で、髪の毛には葉緑素が含まれています。まるでニラのような太い髪の毛が頭の上に生えているわけですが、さらに進化すればもっと細くスマートになるでしょう」。

 「進化した人間なので脚もあり移動も可能です。太陽からは熱と光を、空気からは窒素を取り込みます。しかし根を生やしていないので水分やリンやカリウムなどのミネラルが不足がちになります。というわけでバーに行ってミネラル入りのカクテルで栄養補給するのが日課になります」。

 なるほど。しかし進化すると言うことは、食という楽しみを一つ失うことを意味するようです。「何かを手に入れるということは何かを失うということだよ」。そんな太ったソクラテスの言葉が聞こえてくるような気がします。

-2005/12/14




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