鉄腕アトムがこの春(4月7日)からテレビに再登場しています。日本人に計り知れない影響を与えたロボットであるアトムはこころを持ったロボットという設定になっています。
こころを持っているのですから、こころを構成する要素の一つである感情も持っていることになります。そうなると、気に入らないことがあれば、人間のように怒りだして暴走してしまうのかという疑問が残ります。人間を越えるパワーを持ったロボットが暴走すれば、これは明らかに人間の敵となります。そしてそんなロボットなら要らない、という結論が導かれます。
しかし、こころには感情だけではなく”意志”も含まれています。アトムの意志は”使命”として与えられていて、それは、人間を守ること、という設定になっています。
ペットの犬も主人となる飼い主を守る使命を持っているように見えることがあります。しかし、それが行きすぎて周囲を通る人にかみついたりすれば、飼い主は傷害で訴えられことになるため、結果的に主人を守ることにはなりません。このへんが”犬”の持っている能力の限界なのだろうと思います。
それならば、人間に自分自身を守ってもらおう、という企ては成功するでしょうか?もっと知恵を持っている人間なら他の人間(自分)を守ることができるのでしょうか?これは主人とその部下との関係を考えると分かりますが、いざとなったら主人より自分の方を大事にするというのが多数であり現実です。別の言い方をすれば、部下や上司による、とも言えます。
こころを持ったアトムと元々こころを持っている人間との違いは何なのでしょうか?これに対する答えを出すためには人間たちがどんな”意志”を持って行動しているのかというところを知る必要がありそうです。
アトムが”人間を守る”という”使命”を持っているのに対して、人間は”優れた子孫を残すため”という使命を与えられている、と考えて良いかと思います。
優れた子孫とはもちろん、他人の子孫ではなく自分の子孫ですから、恋敵はまさに自分がその目的を遂げようとするときに立ちはだかる除外すべき敵です。かくして人生は多様な闘いに満ちていて、その闘いを避けてしまうと、何とも物足りないと感じるのだろうと思います。
人間の生物学的寿命が120歳にプログラムされているとすれば、個々の人間はそれまでの間に、意識するかしないかに関係なく、”使命”を果たそうと必至になるはずです。しかも遺伝子を受け継いだ子供ができればよい、と単純でもありません。
寿命が尽きるようにプログラムされていないロボットなら、優れた子孫を残すために動くことはない、はずです。したがって、アトムと人間は恋敵にはなり得ないだろうし、万が一三角関係になっても、”人間を守る”ために、自分から身を引くはずです。
こころを限定的に持ったアトムは、人間の友人になれる、素質を持って生まれたと考えることができます。しかし、どう行動することが人間を守ることになるのか、という問いは永遠に終わることが無い、という気がします。
-2003/4/13
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