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放送はインターネットに呑み込まれるのか?


 携帯音楽プレイヤーのiPodは今ではすっかり有名になりましたが、登場したばかりの頃は衝撃を受けたものです。それは、ついにハードディスクを使ったプレイヤーがメジャーになった、と思ったからです。いわばメディア革命です。メディアと言っても記録メディアのことですが・・・。それまでは音楽を記録するためのメディアはCDやカセットテープ、そしてMDくらいでしたが、コンピューター技術で鍛えられてきたハードディスクやメモリーカードも同じ記録メディアで、これにも音楽が記録できるじゃないか、として家電メーカーはメモリを使った携帯用音楽プレイヤーを発売していたのです。

 ところがそれらはびっくりするほど売れませんでした。企画台数の10分の1にも届かなかったらしいのです。必ずそんな時代が来ると信じる人は多かったようですが、売り上げが伸びなければ製品開発への熱も冷めるというものです。

 そんな頃、ハードディスクやメモリーカードを使った音楽プレイヤーの技術を持ったベンチャー企業があり、筆者もたまたまその企業の話を聞く機会がありました。結果的には日本のどの企業とも提携がうまくゆかなかったようです。そのころ、日本ではMP3プレイヤーの類は売れない、とされていたのですから当然だったのかも知れません。

 ところがiPodがすっかり有名になった頃、アップル社がそのベンチャー企業と組んでiPodを完成させたという話を聞きました。アップル社にとっては冒険だっだのかもしれませんが、結果はご存じのように大成功です。赤字会社を黒字に変えてしまったのですからたいしたものです。

 音楽情報を記録するCDやカセットも、テレビやラジオの放送局もともにメディアと呼ばれていますが、いずれもコンテンツを運ぶための入れ物で、送り手と受け手の間にある、という意味では共通しています。放送の場合は電波が入れ物になっていて、番組を各家庭へ運んでいます。その昔フィルムにコンテンツを入れて各映画館に運んでいた映画は、電波に番組を乗せて瞬時に各家庭に直接運んでしまうテレビに呑み込まれてしまいました。

 より便利なものに呑み込まれるというのは時代の流れのようです。しかしそれにしてもインターネットが放送を呑み込むとしたら、それは具体的にどういう形で行われるのでしょうか?

 おそらくテレビという受像器は変わらない、と思います。もちろんブラウン管からプラズマや液晶になって薄型化や大型化は進むと思いますが、インターネットの時代になっても似たような受像器になるはずです。しかし、チャンネル選びは様変わりするに違いありません。

 筆者宅で使用中のテレビはたまたまインターネットテレビというやつで7,8年くらい前に購入しました。実はこのテレビでインターネットにつないだことは一度もありません。テレビにブラウザソフトが組み込まれていて、外付けのモデムを電話回線につないで使うタイプです。

 このしくみを知ったとき、メーカー側のチャレンジ精神には感激したものの、使い物にならないと思いました。テレビなんだからリモコンで番組を選べなければダメだと思ったからです。しかも当時は動画を流せる状況ではありませんでした。そのころの言葉で言えば、ちっともユーザーフレンドリーじゃない、ということになります。インターネットがテレビと仲良くするためには、この使い勝手を何とかしないとどうにもならない、と思います。

 UHF放送が始まったとき、UHFチューナーが売り出され後にその機能がテレビ本体に組み込まれたように、現在使用されているインターネット経由で映画を見るためのアダプターも、いずれはテレビ本体に組み込まれる必要があるのでしょうか?しかしもしかしたらこうした発想そのものが古いのかも知れません。

 もうテレビはすでにVHF・UHF・BSアナログ・BSデジタルにCSデジタル、そして地上デジタル放送も始まり、受信する機能も受像器に取り込まれはじめています。しかし少なからぬ人たちが、こんなつぎはぎだらけのチャンネルを何とかすっきりさせたい、と思っているのではないでしょうか?

 たとえばYahoo!とかLivedoorのようなポータルサイトの番組覧に、各放送局の番組がストリーミング視聴できるリンクが張られていれば、かなりすっきりします。テレビにつなぐインターネットアダプターにもそのリンクにつなぐようにすれば、日本全国だけではなく世界中のテレビ局の番組をリモコンで選択し、視聴することが可能になります。

 Yahoo!とかライブドアがそうした独自のアダプターを用意すれば、ポータルサイトはインターネットの玄関であるという意味だけではなく放送の玄関にもなることになります。技術的には今すぐにでも可能なはずなのになぜ始まらないのでしょうか?

 インターネットが放送に勝てない理由として、NHKの解説者は以下の4点を指摘していました。

 @インターネットにはサイバーテロの危険がある
 A著作権問題が複雑
 Bデータ欠け・遅れがある
 C多くのユーザーに同時に送れない。サーバーのパワーが足りない。

 サイバーテロに遭ったらバックアップサーバーに切り替えるという手もあります。著作権の問題は、携帯音楽プレイヤーが売れない時の言い訳にも使われていました。データの品質やサーバーのパワーも一つのサーバーでやろうとすれば無理でしょうが、プロキシーを使うなどしてプロバイダー単位で負荷を分散すれば、やれないことではない、と思います。

 しかし突破口は思いもよらぬところから開けるのかも知れない、と期待しています。

-2005/3/12


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