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家族には会話はなく妹からも逃げるようにして家を出て一風館にやってきた真理亜さん。親に気を遣って生きてきた文也くん。そして妻を亡くして一人になったとき、息子達が自分の面倒を誰がみるかでもめている話声を聞いていたたまれなくなって一風館にやってきた嶋田さん。それが今頃になってレストランを経営している下の息子が経済的に困るようになり、親(嶋田さん)の面倒をみる代わりに財産も譲り受けるという話が兄弟で決まり、下の息子が嶋田さんを迎えに来ました。 そうした事情を承知の上で一風館を去り、息子夫婦と共に暮らすことを決めた理由はそんな家族でも自分がつくった家族だからなのだそうです。たしかに家族は最も小さな社会とも言えます。しかもその社会は小さいが故に自分の存在感が大きく、その社会をつくることも変えることも出来ます。 一風館で過ごすうちに家族というのもまんざら捨てたもんじゃないということを発見して、自分がこれまでつくってきた家族を変えるために戻ろうとしたのかも知れません。大きな社会がうまく行かないのは社会のせいにはできても、最も小さな社会である家族がうまく行かないのが誰のせいかってそれまで、より大きな社会のせいにするわけには行きません。 子供は親である自分の鏡、その自分が変わったから鏡に映る子供もまた変わるに違いない。その考え方はきっと正しいに違いありません。でも一風館にもたまには遊びに来て欲しいものです。 |