その時は、たしか小学校の高学年の、
五年生か六年生くらいで、
私は鉄棒にぶら下がり、
天と地を逆に見ていた。
小学校は丘の上にあり、
国道から入ると両脇は花壇になっていて、
その花壇を抜けてゆるい坂を上がると学校の門があった。
門の左手にあたる南側には大きなガジュマルの木があって、
すぐ横の体育館に影を落としていた。
一方の右側には一年生から四年生までの木造の長い校舎があった。
体育館の奥には鉄筋二階建ての、
五年生と六年生のクラスがあって、
右の校舎と左の校舎の間には、
鹿やウサギを飼うための小屋と、
鯉や金魚が泳ぎ浮き草が浮かぶ池と、
よく手入れしていたのでコンクールで賞をもらった花壇もあった。
校舎の間を西に進むと、そこにはグランドがあった。
よくある二百メートルトラックのグランドで、
奥には鉄棒と砂場があり、
周りは松と、教職員の宿舎に囲まれていた。
そのグランドの奥の鉄棒に
どういう訳だか一人でぶら下がっていた。
黄土色をしたグランドの土と晴れた空を逆さまに見ながら、
私はふとこんな事を考えた。
ここで手を離したらどうなるのだろう。
その答えを知るためには、
実際に手を離してみるのが一番手っ取り早いのではないか、
掛けていた両脚を鉄棒からはずし、
手を離した。
私は落下し、地上の硬い土に頭からぶつかった。
頭がジーンと痛んだ。二度とやりたくないくらいに痛かった。
私は物体と物体が引き合うという、ニュートンの法則が
自分の身の回りでもしっかりと成り立っていることを、
ジーンという痛みと共に身をもって知ることになった。
青い空を見るたびに、
今でもどこかに痛みを覚えるのは、
もしかしたらこのためかも知れない。
-2004/2/14
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