ある夏の日の午後の三時頃、
叫ぶような、悲鳴のような音で目が覚めた。
エアコンのきいた部屋の外は暑い盛りで、
音のする方に目をやると、
収集車らしい車が見えた。
そう言えば今日は粗大ゴミの収集の日だ。
聞こえているのは粗大ゴミがつぶされる音。
容積を減らすために粗大ゴミはつぶされる。
金属やプラスチックや板がつぶされてこすれあう音が、
悲鳴のように聞こえたのだった。
ゴミ類粗大科にされてしまった存在が、
ゴミ類粉々科に変わる瞬間だ。
それまでは家電類コーヒーメーカー科や、
家具類食器棚科、あるいは家電類ビデオ科に属するものもあった。
それらは一端ゴミ類粗大科に移動した後、
所定の手続きによって集められ、収集車によってつぶされ、
さらにゴミ類粉々科に移動する。
つぶされる音が、
役目を終えたくないものたちの悲鳴のようにも聞こえた。
そんなことを考えていたとき、ドアを叩く音がした。
「レコードプレーヤーがないんですが、出されましたか?」
収集担当の職員らしい人が、リストにあるレコードプレーヤーが無い、と言う。
確かに出したはずだと応えると、
「それじゃあったことにしておきます。」と言い残して去っていった。
誰かがレコードプレーヤーを持ち去ったらしい。
この前は粗大ゴミに出していたラジカセが持ち去られた。
つぶされる直前の粗大ゴミを拾ってくれる人は、
神様のように有り難い、と思った。
-2004/8/28
-2004/9/6 推敲
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