いつもの帰り道を歩いていたら、
後ろから騒々しく鐘を鳴らす音が近づいてきた。
それは通り過ぎて十字路を右に曲がった。
赤い色をした消防車だった。
それからもう一台が、
今度はスピーカーで緊急自動車であることを知らせながら、
前方の信号のある十字路をそのままつっきろうとしていた。
最近はディーゼル規制のためか右翼の車も少なくなり、
久しぶりに聞いたけたたましさだった。
十字路を渡ると、間もなく、
また別の消防車が後ろからやってきて通り過ぎて行った。
大きな通りから入ったいつもの路地が、
今日はやたらに車が多く、人も多い。
多い人だかりは、消防車が向かった方向を向いていた。
近所に住む人たちが全員出てきたようなにぎわいだった。
火事は近くで起きているらしく、
○○さんの家らしい、と言った未確認情報が耳に入った。
火事場らしい現場を左に見ながら先に進むと、
今度は正面からこちらに消防車が近づいては後ろへ抜けた。
通りには、白い煙と木と埃を焼いたような匂いが漂っていた。
野次馬の表情は穏やかで、
自分たちが野次馬であることをはにかみながらも、
火事への好奇心は抑えきれない、と言った様子だった。
中学の頃、
火事だと聞いて
見に行ったことがある。
着いた頃にはすでに鎮火していた。
一年上の先輩の家の横の馬小屋が焼けていた。
親戚の人が後ろから、
野次馬を蹴散らしながらバケツを持って、
馬小屋に向かっていた。
残った火を消すためだったらしい。
私はこのとき、
ただ見ているだけの野次馬の自分を
恥ずかしい、と思った。
それから、
火を怖がった馬は逃げ出せずに焼かれて死んでしまい、
一年上の先輩は、
高校ぐらいは行きなさい、という親の言うこともきかず、
家が大変だからと高校進学をあきらめ、
就職した、という話を聞いた。
元々高校に行くのが嫌だったんじゃないか、
私はそう思いたかった。
当時そんなことを考えていたことを、
木と埃の焼ける匂いと共に思い出した。
-2004/5/8
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