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どでかい石を動かしたという父の話


 勝手ながら、今回は編者の父について書いてみたい。自分が幸せだと思う理由の一つに誇るべき父親が居る。世間的に有名な人では無いが、編者にとっては誇るべき父親だ。

 編者の父は小学生の高学年頃がちょうど太平洋戦争だった。敵国が攻め込むかも知れないと言うので疎開したらしい。疎開とは敵が攻めてこないような安全地帯に避難することを言う。疎開先では今の母をよく見ていたと言うから抜かりがない。同じ頃に両親を亡くしたようだ。亡くなった理由は今も知らされていない。長男だった父は中学を卒業するとすぐに働くことになった。弟たちや妹が高校に進んだことを考えると、なぜ高校に進まなかったのか不思議でもある。学校に行っているようなご時世では無かったとも聞いている。

 編者が小学校高学年の頃、編者は遊びのように理科という科目を楽しんでいた。自分にとっては遊びでも、学校に行くと一つの教科。母親から”好きこそものの上手なれ”という言葉を何度か聞いた。たしかにその教科だけは成績が伸びて、クラスの一番になった。ところが通知票を見た父親は喜んではくれなかった。それよりは生活態度でいい点を取る方を素直に喜んだ。父はどうも”成績の良い人”より”人間的に良い人”を好むようだ。一方母親は”成績が良いことは悪いことじゃない」と話していたような気がする。

 何度も聞かされた父親の自慢話がある。男は力あることを誇りにする。父親の力とは力持ちそのものだった。皆が迷惑している邪魔な大きな石を父親一人が素手で動かし、周囲の人達を驚かせたという。力自慢は男自慢。編者自身も似たような風景に出くわしたことがあったし、酒が進むたびにこの話を聞いたような気がする。

 そんな話を聞かされていた編者は米俵を背中に背負ってお世話になった人に届けなさいという父親の薦めに快く同意した。目的地に着くと、それを迎えた親戚は”立派になったね”と半分心配しながら笑顔を浮かべた。

 父は今も母とケンカしながら仲良く暮らしている。思い出すと力が湧いてくるような親を持った自分は幸せであるに違いない。自分もそんな父親になりたいと思う。できれば、考えることも力になることを、自分の子供には教えたい。

 -2001/8/28





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