臭いあるいは香(かぐわ)しい匂いを嗅いでさまざまな記憶を呼び覚まされた経験を持つ人も多いでしょう。人間に与えられる情報の8割は視覚によるものと言われていますが、残りの2割は味覚、触覚、聴覚、嗅覚ということになります。香水のいい匂いは憧れた人の記憶を呼び起こすかも知れません。煮物を味わうと母親を思い出すかもしれません。懐かしい音楽は当時の自分を思い出すきっかけになります。たまにジャリ道を歩けばどこかで歩いたジャリ道を思い出すでしょう。
データ量が膨大になってきたときに必要なものを探し出そうとすると関連語を入力して検索したりします。それを限りなくあいまいな検索にしたときに人間が何かを思い出そうとするときのしくみに似てくるものと思います。ファイルも増えすぎるとタイトルから探すことが大変だとは感じている人も多いでしょう。
言語表現ではない5感の情報が何らかの形で脳に記憶されているとすれば、関連したものから過去の記憶を探るのが良さそうです。また、これを逆に利用して記憶しようとするのが連想記憶術と呼ばれるものだと思います。編者もこれをやってみたことがあります。たしかに効果がありました。短時間に多くのことを覚え、しかも思い出すときも容易でした。編者の場合は自分の住むところからどんどん歩いていくことを想定し、たとえば最初は赤いポスト、お店、電柱、・・・ とその場所に順番に覚えたいものを置いていきます。歴史上の出来事などに関連するものを頭の中で置いていきます。後でその道をたどれば次から次に思い出します。しかし、この方法では次に新しいことを覚えるためには新しい場所を探す必要があります。
教科書に落書きをすれば、後で見たときにその落書きとともに授業のようすでさえ思い出します。しかし、落書きに夢中になりすぎた場合は初めから授業の記憶そのものが無いかもしれません。もし、その時の先生が女の先生で特定のかすかな香水を使っていた場合、同じ香水を嗅げば当時のことを思い出すはずです。
後20年は経たないと、コンピューターの記憶容量は人間の潜在的記憶容量に達しないと言われています。いかに多くの情報が脳に記憶されているかが想像できます。あいまいで膨大という特徴は意識して記憶と取り組むことにより”アクセス”できるものと思います。あなたは記憶力が悪いのではなくそれを取り出す手立てを手に入れていないのかもしれません。
-2000/12/3
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