現場から「人が足りない」とか「もっと仕事の出来る人が欲しい」という声があがると、新しく人を雇うべきかどうか経営者は迷うことになります。一度雇ってしまうと簡単にはクビを切れないしな。しばらく様子をみるか・・・。
こんなときに、「26歳未満で2年間の試用期間なら、たいした理由が無くても、自由にクビにできますよ」と政府が言ってくれれば、たしかに経営者は人を雇うかもしれません。実際、こんな雇用促進策をはじめようとしたフランス政府に経済界は大賛成でした。
ところが労働者や学生は大反対。反対のデモは50万人にもなったそうです。日本とは規模が違います。それでついに10日、フランスの首相が撤回を表明しました。
この”雇用促進策”になぜ経済界は賛成し、学生や動労者は反対したのでしょうか?
フランスの首相はドビルパンという名前の人だそうですが、このドビルパンさんは次の大統領を狙っている人で、ここで国民から支持が得られるような政策を打ち出したい、と考えていたようです。”クビにしやすくすれば、企業は人を雇うようになり、仕事をする機会が増え、若者の失業率が下がり、若者は今よりハッピーになれる。そうすれば自分への支持も増え、大統領選挙で有利”、と本気で考えていたようです。ところがこの計画は大失敗でした。
クビにしゃすくすれば企業側には直接メリットがありそうですが、それで本当に働こうとしている人が、そして働いている人がハッピーになれるかどうかは疑問です。それは、風が吹いた後桶屋が儲かるまで待つようなものではないか、と思うからです。優先順位が明らかに違います。
働く側からすれば、休暇を増やせば、労働者の働く意欲が増し、仕事の効率が上がる。そうすれば企業もより少ない給与でより多くの成果が得られる。これも、風が吹けば桶屋が儲かると同じ論理で、個々の企業が本当に効率が上がるかどうか解りません。
しかしフランスではこれまでの長い労働運動によって、長期休暇(バカンス)、フレックスタイム制、週35時間労働等を獲得してきています。
「週末には朝7時に出社して3時過ぎには仕事を終えて家に帰っている人もいるよ。今なら(夏)9時くらいまで明るいし、帰ってからいろいろなことがやれる」。こんなうらやましい話を、出張先の事務所へ送り迎えをしてくれていたフランス人から聞いたことがあります。しかもそれは今から14くらい前の話です。
日本でもフレックスタイム制を採用する企業は増えているし、有給休暇制度もあります。しかし、あまり活用しているという話は聞きません。これも、優先順位の違い、そして労働運動の違いによるものなのかも知れません。
-2006/4/11
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