この言葉を初めて聞いたとき、”何だか怪しい”と思ったものです。言葉そのものがいかにも胡散臭く、しかもこれをやろうという推進派の人たちが、残らず怪しい人たちに見えてしまうから不思議です。この怪しさはどこからくるのでしょうか?
まずは、カタカナ言葉だということだと思います。カタカナ言葉は、わざと難しい言葉を使うことによって、よくわからないうちにコトを進めてしまおう、というときによく使われるような気がするからです。都合の悪いことをわざと小さい字で書いて、読もうという意欲をそぐときに使われる、あの保険の約款に似た手法です。これは詐欺を連想させるやり方で、怪しく感じるのは当然なのかも知れません。
また、カタカナ言葉は、日本語に訳そうにもそういう考え方や言葉がないときにも使われます。それは、これからやろうとしていることが、これまでの日本ではやられてこなかったことを意味し、日本の文化になじむのだろうか、という疑問がわいてきます。
三番目は、調べてみても意味がよくわからないことです。ホワイトカラーが、青い服を着ることが多かった工場労働者をブルーカラーと呼ぶのに対して、白いシャツを着てネクタイを締めて働く人たちを指すことはわかりますが、エグゼンプションがわかりません。これまで聞いたことがない言葉です。調べてみると、意味は「免除」だそうです。「ホワイトカラー免除制度」。これでは何のことだかさっぱりわかりません。
いろいろ調べてみると、この制度の狙いは、要するに正社員の賃金を下げることにあるようです。言葉の意味と実態を無理やりつなぎ合わせると、
正社員の賃金を下げることによって、経営(会社)側が社員に高い賃金を支払う義務を免除すること、またはその制度、と解釈することができます。経営者には理解しやすい言葉です。
正社員の賃金を下げることによって、賃金相場を派遣社員だけではなく中国などの賃金に近づけようということのようです。経費が減れば経営は安定するし、正社員の賃金が下がれば派遣社員らの不満も多少は減るはずです。
さて、いつの間にかホワイトカラーという言葉が正社員に摩り替わっていますが、これはどう解釈すればよいのでしょうか?ホワイトカラーエグゼンプションという言葉が生まれたとされるアメリカには、正社員に相当する言葉がないため、一定以上の給与をもらっている人をとりあえずホワイトカラーと呼んだものと思われます。
ちなみに、正社員・非正社員という言葉は差別用語だという人もいます。日本で正社員と言えば、年金や健康保険の一部を会社側が支払っていたり、納税の手間を会社が肩代わりしている社員を指しますが、アメリカにはそのようなしくみはないようです。
日本の場合、一定以上(年収900万とか400万とか)の給与をもらっている人は、ホワイトカラーというより正社員といった方がより現実にあっています。
「ホワイトカラーエグゼンプション」が持つ胡散臭さを吹き払うためには、この制度の狙いに合わせて正々堂々と、「低水準安定型給与格差是正制度、並びに雇用安定と国際競争力強化を狙う制度」、と呼んだ方がいいように思います。ただ、こういう後ろ向きの制度に賛成するのは難しい、という気がしますが・・・。
-2007/1/15
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