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渋谷の女子短大生はなぜ殺されたのか?


 渋谷区の女子短大生が自宅でバラバラの死体となって見つかった事件は、どうやら次男の兄が犯人だったようです。妹に「努力しないから夢が叶わない」と言われてカッとなったと自供しているようです。

 一家は両親とも歯医者さんで長男も歯医者を目指して歯学部の学生、次男も歯医者を目指しているものの、成績があまりよく無いらしく、大学受験に三回失敗して三浪し予備校に通っていたようです。一方、兄に殺された妹は、短大に通いながらドラマに出演するなど、本人の希望に沿った生き方をしていたようです。

 このような事情を考えてみると、次男が日頃から家族に対して劣等感を持っていたことが伺えます。こうした家族構成は、探偵ドラマでもありがちな設定です。しかし、現実の世界では、同じような状況にある家族はいくらでも存在し、そのすべての家族で殺人事件が起きているわけでもありません。

 この事件をニュースで聞いたときに、「妹と三年間口をきいていない」という兄の発言が気になりました。すぐ傍で暮らしながらお互いに話をしていない、という状況は、紛争が続くイスラエル人とパレスチナ人の状況によく似ています。

 昔は同じ地域に普通に隣人として暮らしていたのに、イスラエルという国を作ることが決まり、壁一つ隔ててイスラエル人とパレスチナ人が暮らすという状況が生まれました。どんな家と家の間にも壁はありますが、問題なのは彼らがお互いを、まるで異星人のような目で見ていることだと思います。移住してきたイスラエル人たちは一様に黒い服を着て黙々と行動しパレスチナ人とは口をきかなかったそうです。

 話をすれば相手も自分と同じ感情を持った人間であることが感じられるはずなんですが、話をしなければ、相手が得体の知れない悪魔のような存在に見えてくるようです。そして、殺されても仕方の無い存在、あるいは殺すべき存在へと変質してしまうようです。舞い上がった妄想を現実に引き戻してくれる、挨拶や会話が無いという状況です。

 マンションなどでも、話をしたことがない隣人は何となく怪しげな悪党に見えたりしますが、挨拶を交わしたり総会で話をしてみると自分と同じ感情を持った人間であることを実感したりします。しかし逆に話をしないままだと、相手がだんだん退治すべき鬼に見えてしまうわけです。これが今回、殺人事件にまでなった一番の原因ではないか、という気がします。

-2007/1/5




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