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『サラミ戦術』は使えるのか?


 9日にはワールドカップ最終予選の対北朝鮮戦が行われ、2-1で日本が勝ったものの、北朝鮮も結構やるじゃないか、という印象でした。そして次の日の10日、北朝鮮は核兵器を作ったことや六カ国協議jを無期延期することなどを宣言しました。北朝鮮のこうした声明はサラミ戦術(salami tactics)と呼ばれているようです。

 サラミソーセージが薄切りにされて出されるように、持っているカードを小出しにする作戦なんだそうです。瀬戸際政策(brinkmanship)との組み合わせで利用され、これによって交渉相手を脅し少しでも多くの利益を得ようとする戦術です。

 しかし核を持っているとか、話し合いを中断するとかいう話は何度も持ち出されているため、小出しにしているというより、一度客に出したサラミソーセージを別の皿に盛ってもう一度出すようなものじゃないか、と思います。しかし今回は二期目に入ったブッシュ大統領やライス国務長官の発言を受けての声明で、折に触れて限られたらカードを印象づける効果はありそうです。

 つまり忘れた頃とか印象が薄れた頃に持ち出し交渉相手や周囲に強く印象づけるという手法です。別の言葉で言えば、場面を変えて繰り返し印象づけることで短期記憶から長期記憶へと記憶を定着させる効果がある、とも言えます。

 サラミ戦術は、最近では北朝鮮の戦術を説明するために使われることが多いようですが、ブッシュ大統領も2000年の大統領選で、このサラミ戦術を使ったとされています。つまり保守派を取り込むために中絶問題を繰り返し持ち出し、ゴア候補と戦った、という訳です。

 しかし、小出ししにして印象づけるという戦術はその使い方を誤るととんでもないことになります。自らの強みを小出しにして印象づけるのなら戦術と言えますが、自らの弱みや欠点を小出しにするとなると大変です。

 最近の例では三菱自動車のケースが思い浮かびます。忘れた頃に欠陥隠しが明らかにされるため、「三菱の車は品質が悪い」という悪いイメージが繰り返し刷り込まれます。短期記憶の範囲内でいつの間にか忘れ去られるはずの悪いイメージが、”逆サラミ効果”で長期記憶へと移動し、すっかり悪いイメージが定着してしまいました。

 サラミ戦術はそれをうまく利用する例より、逆戦術の罠にはまる例の方が多いように思います。

-2005/2/12




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