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パリの暴動はなぜ広がっているのか?


 10月27日にパリ郊外で始まった暴動はフランス全域に広がり、ついに非常事態の宣言に至りました。政情不安なイラクならともかく、貧富の差が激しい中国ならともかく、あるいは弱肉強食のアメリカならともかく、なぜフランスでこのような暴動が起きるのでしょうか?

 今回の暴動は移民による暴動だとされています。腹が立ったとき、自分はなぜ日本で暴動を起こさないのか、と自分に問えば解ると思いますが、普通ならそんな無茶はやりません。暴れれば一時的にはすっきりしても、後でとんでもない損をするからです。それに日本に不満なところがあっても、暴動はおろかストやデモでさえ参加する時間がもったいない、と思うのが日本での常識です。

 ところが、たとえば9.11のテロで自爆したテロリストの動機を考えてみると、そこには自国に対する絶望感と、自分の国をそんな国にしたとされるアメリカへの激しい憎悪があったようです。自らの未来を否定する社会そのものに対する憎悪が増幅しない限り、そもそも暴動やテロに向かう理由がない、という気がします。

 パリ郊外に多く住むと言われるアフリカ系、アラブ系の移民やその二世など、若者の失業率は30パーセントにも及ぶそうです。仕事がなければ暇はあっても収入はありません。かつて、イギリス人やフランス人はアメリカ大陸に渡り、同様にゼロからスタートしましたが、現在の移民とは大きな違いがあると思います。

 それは、今の移民はなかなか裕福になれない、ということです。かつてアメリカに渡った移民達は、先住民を追い出し、土地を奪い、これは自分たちの土地だと宣言しました。人の物を奪うことによって資産を増やし、リッチになっていくことが可能だったのです。今は、移民がアメリカやフランスに渡っても、奪う土地はありません。

 現在、米国で多大な影響力を持つとされるユダヤ人も移民したばかりの頃はもちろん貧乏でしたが、彼らはユダヤ人の間のネットワークを持ち、稼いだわずかな金を蓄えては賃貸アパートを買い足して次第に資産を増やしていったと聞いています。ともかく少しずつでも、資産を増やしていかない限り、貧乏なままです。

 また、フランスで若い人の失業率が高いのは、若い人に偏った解雇のやり方にもあるとも言われています。企業で人が余ったとき、勤続年数の短い人から順番に解雇してきたらしいのです。それは、勤続年数が長い人には養うべき家族がいるから、という理由があるようです。しかし、そんなことばかりやっていると、若い人の失業者が増えて大変だと、もう何年も前から、何とかしなければ、と言われていたのです。

 若年者でかつ移民となると、就職はなおさら難しくなります。おしゃれな国であるはずのフランスは、同化主義を取っているためスカーフを身につけるなどの、アラブ人らしさを主張することが難しい国です。金もなく仕事もないが暇だけはある。自分たちらしさを主張することもできない、そんな若者を街に放っておくのは危険です。

 十代の二人の若者が警官に追われて感電死したことが暴動のトリガーになったとされています。やり方を間違えると、それがまた次の暴動の引き金になりかねません。金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になる。そんな気にさせ続ける限り、暴動は収まらないのかも知れません。

-2005/11/8




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