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米兵がイラクから撤退できない理由


 最近では、イラク戦争への派兵に対してアメリカでも反対デモが普通に行われるようになり、しかも昨年の中間選挙では、イラク戦争を始めたブッシュ政権を嫌気してブッシュ大統領の共和党が負けています。にもかかわらずブッシュ大統領は、撤退どころかここが踏ん張りどころと、逆にイラクの兵を増やしています。

 しかも、米兵の犠牲者は開戦以来3200名を越え、しかも帰還兵の16パーセントがPTSD(心的外傷後ストレス障害)で社会復帰もできず、デモにも帰還兵が参加していると伝えられています。それなのになぜ撤退しないのか。ブッシュ大統領は意地になっているのか、それとも状況を理解できないくらいにボケてしまったのか、などとその理由を推測していました。

 ところが昨日の20日、来年の大統領戦に出馬予定の民主党最有力候補で、ブッシュ政権のイラク政策を批判していたはずのヒラリー・クリントン議員が、自分が大統領になっても一部の兵をイラクに残す可能性がある、と発言したそうです。こんなことを言ってしまうと、選挙戦で十分にブッシュ政権を攻撃できなくなります。

 選挙戦で多少不利になっても、イラクに米兵を残す理由として、完全撤退したらイラクがイランに攻められてやられてしまうかもしれないから、なんだそうです。そう考えるのもわかるような気がします。フセイン大領の頃とは異なり、現在イラクを支配しているのはイスラム教シーア派で、イランと同じです。

 もし、イランがイラクを攻撃したら、イラク政権は宗教上の同士でもあるイランと戦うこともせず、あるいは表面上は戦う振りをしながらも、さっさと白旗を揚げる可能性があります。つまり、イランは労せずして、イラクを手に入れる可能性があるわけです。核やミサイルを開発しているとされるイランが、イラクを手に入れると、その脅威はまた一歩、イスラエルに近づくことになります。

 ヒラリー議員の民主党は、共和党よりはるかにユダヤ系有権者に支えられているとされており、それゆえにイスラエル寄りで、これだけは避けなければなりません。

 それでなくても、アメリカの庭と言われてきた中南米には、アメリカとつきあっていると富を吸い取られてしまうからと、次々に反米政権が誕生し、中南米訪問では、行く先々で反対デモが行われるような状況です。こんなときに、イランにイラクを取られたら、中東での力関係も一気に反米に傾斜する可能性があります。

 アメリカ全体の利益を考えると、大統領選で多少不利になっても仕方がない、という考え方なのかもしれません。

 イラク戦争でフセイン政権を倒してしまうと、中東のバランスがくずれてしまうため、最終的にはアメリカに不利になることが、当時から専門家の間では指摘されていました。ヒラリー議員も、その尻拭いをする必要があることに気が付いたのかもしれません。

-2007/3/21





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