”恐ろしい何かが目の前に迫ってきたとき、急いで逃げようとしても足が動いてくれない。”これを腰が抜けると言いますが現実の世界で経験することは少なくとも、夢の中で経験した人は多いかも知れません。
逃げようにも逃げられず後ろからその恐ろしい何かがどんどん近づいてくる、そして実際どうこうされるというシーンは覚えていない、といった具合です。
恐怖体験で腰が抜けてしまうのは足の筋肉が自分の意志とは関係なくゆるんでしまうことが原因らしいのです。危機に俊敏に対応するための自律神経の働きが極端に働いて動けなくなった状態だそうです。自律神経は自分の意志とは別のところで働いているので、どうにもならない状態です。
この人体システムで起こる驚愕(きょうがく)反応が思考においても起こるであろうことは十分に推測できます。これは一般的には”思考停止”と呼ばれています。物事を順序立てて考える能力を奪ってしまうこの思考における驚愕反応もまた、自らの意志では制御不能なのかも知れません。
特に日本人が思考停止に陥るきっかけとなりそうな言葉は、
戦争、平和、反戦、原爆、日の丸、君が代・・・。
最近では”人間の盾(human shield)”もこれにあたるように思います。”反戦の嵐が世界中に吹き荒れるなか、自分も何かをせねば。自らが盾になり、イラク国民を戦争の被害から救おう。” そう思ってバスに乗りイラクへ。ところがフセイン政権は学校や病院で盾になることは望まず、変電所や燃料庫などで盾になるよう希望します。”これではイラク国民ではなくフセインを守ることになる。”という現実に絶望し、多くがイラクを去ったようです。
数百人に及ぶはずだった盾も人数が減り続け、英国、フランス、ドイツ、オランダ、韓国・・・各国の人間の盾志望者はそれぞれ数名くらい、日本は11名と一番多いようです。
”イラク国民の盾にはなれず、戦争も始まってしまった。さりとて今更帰れない。自分はイラクに何をしに来たのか?このままイラクに止まることに何の意味があるのか?自分の行為はイラク国民ではなく、国民に銃を向けるフセインを守ることになりはしないか?”
反戦や人間の盾という言葉によって思考停止に陥っているとすれば、自分の行為に疑問を抱いているにもかかわらず、自分の意志ではイラクから出られなくなる、と思われます。
-2003/3/26
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