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何が欧州の地域統合を可能にしているのか?


 5月1日にEUが25カ国に拡大しました。GDPはアメリカに匹敵し、人口は4億5千万で日米を合わせた人口より多くなっています。アメリカと旧ソ連によって分断されてきたヨーロッパが、両大国からできるだけ距離を置きヨーロッパらしさを取り戻したいという気持ちが、統合の原動力になっているようです。それでも同じヨーロッパとは言いながら、話す言語も通貨も違うわけです。何が統合を可能にしてきたのでしょうか?

 ヨーロッパにはヨーロッパ全域で行われる歌合戦があるそうです。これで思い出したのが、北朝鮮と韓国で行われたのど自慢大会です。これは民衆レベルで一体感を得るのに有効だと思われます。戦前の日本の高校野球には台湾チームも参加していたそうです。当時の台湾は日本に属していたわけですから当然といえば当然なのですが、国とか連合とか、共通のくくりに属していることを理解するのに役にたちそうな話です。しかし、一体感だけでは統合はできません。


●何語で話し合いをしているのか?

 統合する相手が危険な国では困るので、相手が何を考えているのか知る必要があります。どうやって知るのかというとそれは各国間の話し合いです。そこで気になったのは、様々な言語を持つヨーロッパで共通で使用している言語は何なのかということでした。ちなみにかつてヨーロッパ全土を支配していたローマ帝国の時代の共通言語はラテン語だったそうです。

 EUが25カ国に拡大した一日、NHKのBS放送では特集番組が放送されましたが、その中で最も興味深かったのはEU拡大に向けて繰り広げられた首脳外交の舞台裏を伝える番組でした。

 それはEU議長国のデンマーク王国のラスムセン首相の動きを密着取材したものです。芸能人ならともかく、こうした番組が報道されることも驚きです。(ちなみに、ラスムセン首相は2002年7月8日、日・EU定期首脳協議のために来日し、小泉総理と首脳会談を行っています。)ラスムセン首相とスタッフの間はもちろんデンマーク語のようでしたが、各国首脳間の挨拶や話し合いや声明はすべて英語でした。英語は、イギリスの国の言語というより、各国が関わらざるを得ないアメリカの言語ということなのだと思います。


●ドイツはどうやって信頼を得たのか?

 EUの推進役となっているのはフランスとドイツだと言われています。アメリカと距離を置きたいために欧州でまとまりたいと考えるのはよく解ります。しかしそこで気になるのが第二次大戦でヨーロッパを苦しめたドイツへの疑念は消えたのか、ということです。汚名払拭のためにドイツはこれまで何をしてきたのでしょうか?

 一つ目は、ドイツがEUで各国に支払われる農業補助金の拠出国(スポンサー)になっているということだと思います。豊かになった国が金を出す方に回るのは当然と言えば当然で、戦前の行いとは関係がないのかも知れません。しかしもらう側にとって、金を払ってくれる役に立つ国、というイメージづくりにはなるはずです。

 二つ目は、卑屈なくらいに謝っているらしいことです。今回のEU拡大を機会にドイツで放送された記念番組の中で、ドイツの元ブラント首相がユダヤ人被害者の記念碑があるワルシャワで、ひざまずいて許しを請うたシーンが放送されたそうです。ひざまずいたからといってもちろん過去の記憶が消えるわけではありませんがポーランド人の溜飲ぐらいは下がったはずです。

 EU統合を巡ってヨーロッパで行われていることは、日本もアメリカとはもう少し距離を置くべきだと考えている人にとってはなおのこと、耳の痛い話ばかりです。

-2004/5/2




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