気がつけば終わっていた長野県知事選(8月6日)で、三選を目指した田中康夫氏が落選しました。それからその後の報道やこれまでの経緯を振り返っているときに、思い出したのが、たしか星新一のショートショートです。内容を簡単に説明すると、こうなります。
ある中小企業に一人の若い男が就職します。男は仕事もできるし経営について尋ねると気の利いたアドバイスもくれます。こいつは将来有望だと期待した社長が男の身元を調べたらとんでもないことが分かりました。その男は大きな企業を経営する多忙な若手経営者だったのです。しかも、一番気に入らなかったのは、自分の会社に休養のつもりで出社していることでした。社長はそれを知ってすぐに男をクビにしました。
そのまま雇ってうまく利用すれば、いろいろと会社の力になってくれたのかも知れません。でも社長はそんなことより、プライドが許さなかった、のです。
実際6年前に長野県知事となった若き田中氏は、まず県庁で名刺をくばり、それを折り曲げられてニュースになりました。それから県議や県庁、市長村との衝突は続きましたが、明らかに実績を残したと記憶しています。
まず造るときは潤ってもその後の維持費がかさむダム建設を止めたこと。つぎに経費を節約し、まだ一兆円を超えるされる借金を減らし始めたこと。一方、経費を減らしたのに介護は行き届くようになったこと。それも金のかかる箱物行政とやらをやめたせいだと聞いています。
また中央のテレビ局に出演し長野のワインをはじめ特産物を紹介したりもしました。他県の者からみると、自分の市や県にも欲しい働き者です。長野県民にとっても、くせがあり衝突があってもよく働いてくれるから大目に見ようということだったのかも知れません。しかし、昨年の新党日本党首への就任は長野県民のプライドをいたく傷つけたと思います。「長野はステップに過ぎなかったのか」と思わせたに違いありません。
だからおそらく、長野県民の多くはそのときに決心していたのです。長野が将来また借金が膨らみ財政再建団体になっても構わない。それより「田中」はクビだ!と。
しかし、仮に財政再建団体になっても、個人の自己破産とは異なり、借金返済が免除されるわけではありません。その点は注意が必要だと思います。
-2006/8/8
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