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権力を横取りする人々とEU拡大の関係


 ”民主主義”とはどういう意味なのでしょうか?それは国民の一人一人が権力を持っていて、それを行使できる政治形態だとされています。北朝鮮も中国も民主主義の国ではありますが、権力行使は朝鮮労働党や中国共産党が人民を代表して行っています。

 日本や米国などの資本主義国でも権力は国民一人一人が持っています。つまり、1億3千万人は日本国の王様です。ただし、自分以外の王様たちのために働く家来も兼ねていますが・・・。


<権力を横取りする人々>
 たいていの王様は家来役で忙しいため政(まつりごと)まで手が回りません。ということで、その政にたいして自分と同じような考え方を持つ人が集まる党に属し、信頼できる人を選挙で代表者として選び、法律を作ってもらい、その法律に従って役所の人達に権利を行使してもらうことになります。

 政治家や役人に権力があるわけではなく、あくまでも代理人として権力を使っているのですが、それを自分の権力だと勘違いすると汚職事件を起こし、有罪となれば牢屋にぶちこまれます。

 これは人様から預かった預金を自分の金だと勘違いして横取りしてしまう行員の横領によく似ています。人様に代わって運用すべき金を盗めば泥棒となり、手が後ろに回って檻の中に入るのは当然です。

 中国、北朝鮮、ベトナム、キューバなど一部の国々はまだ頑張っていますが、世界中の社会主義国はその体制を、共産党による一党支配から他の党も認める体制へと移行しています。

 社会主義国がうまく行かなくなった最大の理由は共産党による一党支配だったからというより、”結果の平等”という理想を追いかけたために、深き欲望によって生み出される活力が失われ、著しく効率が悪くなったためだろうと思います。

 結果の平等を求める考え方は日本の多くの組織でも温存されていて、その考え方が徹底しているところほど、まじめに働いている人が得た利益の再分配には熱心ですが、進んで働こうとはしないようです。

 こうした社会主義的”悪平等”に多少毒されてはいるものの、投票によって代表者を選ぶことである程度の緊張感が保たれます。ところがこうした民主主義の形態にも問題があることが指摘されています。


<投票制度の持つ不公平>
 その一つは投票制度です。一般の民主主義国では主権者である国民が投票によって代表者を選びますが、この投票制度そのものが民主的(平等・公平)ではないことがすでに証明されています。

 A、B、Cの議員がいるときに、AとBが手を組んでCに不利になる法案を通すことが可能です。ところが、次の投票時に、CがAにとってより有利な法案をAに持ちかければ、AとCが手を組んで、Bに不利な法案を通すことが可能です。おそらく、次の投票ではBが黙っていないでしょう。

 このようにしてむなしい投票行動が続く可能性があります。この悪循環を絶つためにはそのやりとりを公開することだと言われています。あまりにやっていることが不公平であれば、そうした行動をするための正当な理由を失い、人格を疑われ、誰のためにもならない”ダメ人間”だというレッテルを貼られてしまうからです。

 しかし、公平さより利益を優先しているのに、巧妙に世論を動かし公平さを装う確信犯は当然存在するわけです。しかも、賛同を得て多数派となれば自分たちの利益になる、という事実は厳然と存在します。


<権利を守るためのECの拡大>
 1991年、マーストリヒト条約で設立が合意され、1993年に設立されたEU(欧州連合)は経済・通貨、安全保障、一部の国家主権の統合を求めて拡大を続けています。

 この連合がどんどん大きくなって最後は国際連合になってしまうのかというと、もちろんそうではありません。国際連合はすでに存在しているし、明らかに目的が違います。近所の国々が統合を目指す目的とは一体何なのでしょうか?

 動物が群れを作るのはより強い敵の攻撃から身を守るためだと言われています。シマウマを追うライオンも、不用意に群れに近づけば逆に踏み殺されてしまうため危険です。つかず離れず様子を伺い、怪我などで体が弱り群れを離れたシマウマを狙っています。シマウマの立場なら、身を守るために群れに加わっても、その群れの動きについてゆけなくなれば、やはり危険です。

 さてヨーロッパの国々にとっての敵とはどこなのでしょうか?それはヨーロッパ以外の国々ということになるはずです。米国とヨーロッパと共にNATOに加盟しているトルコがEU入りを目指していますが、トルコはキリスト教の国ではなく、イスラムの国です。

 トルコを加えたらEUはもう終わりだという人も居るわけですが、”それならヨーロッパとはそもそも何なのか?”、というアイデンティティの危機に陥っているとも言われています。トルコは自分たちと同じ”シマウマ”ではなく、”キリン”だから群れに加えるわけにはいかない、と考えるのか、それとも、同じ”ライオン”を敵とするのだから群れに加えるべきだ、と考えるのか、結論を出しかねているようです。


<一部の集団に横取りされる権利>
 そうやって、群れを作って特に守っているものは域内の農業で、”農家の収入の3割は農業補助金”というIMFの試算もあるようです。アメリカの農業も政府の補助金によって守られています。

 日本の農業も補助金で保護されていると言われていますが、守られているかどうかは疑問です。大規模を目指す肝心の担い手にその金は回らず、保護に群がる人々にばらまかれ、その実態を知っているものだから、皮肉なことに保護されている作物ほど未来が無い、とも言われています。未来が無いとなれば、子供に後を継がせようと考える親はいません。継ごうと考える子供もいなくなります。

 ”せっかくの補助金が肝心の人に届かない・・・”、どこかで聞いたような言葉です。”援助の食糧が飢えている人達に届かない。”、”せっかくつぎ込んだ税金が肝心の中小企業に届かない。”

 こうした非効率は日本だけではなく、EUの中でも存在し、深刻な悪影響を与えているようです。そんな組織がどうやって生き残っているのかと言えば、群れを作って政治に圧力をかけています。

 どうやったら、この非効率は減るのでしょうか?これも投票に見られる民主主義の限界のように、やりとりを公開することだろうと思います。援助や補助金を横取りしていることがバレれば、自分たちがやっていることが牢屋にぶちこまれるべき泥棒行為にあたり、もうそろそろ”ヤバイ”と感じると思うからです。

-2003/1/12


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