過去に大きな失敗や嫌な経験をするとそれが精神的な傷になって、うまく立ち回れなくなってしまうことをPTSD(心的外傷後のストレス障害)と呼んでいます。それなら過去の成功体験が後々に問題を残すことは無いのでしょうか?
この間のNHKのテレビで戦艦大和を取り上げていました。海軍力のおかげで日露戦争に勝利した日本はその成功体験を忘れられず、その後の戦略を誤ったと言われています。これは勝利という成果を、また得ようとして同じやり方繰り返したためだと考えることが出来ます。勝利するための手段は日々進歩しているために、時代が変わればやり方も変えなければいけないのですが、勝利したという体験があるために、同じやり方でまた勝てるのではないかと考えてしまうことで、なかなかそこから抜け出すのは難しいようです。
商売の基本的な考え方を応用して実際に商売を行い、繁盛して店が大きくなった頃には歳を取りすぎて商売を次の世代に引き継ぐという事は良くあります。二代目は一代目の商売のやり方を受け継ぎ、店は何とか続きますが、三代目になってくると、これまでに築いてきた財産のみを受け継ぎ、食いつぶすとその店はつぶれてしまいます。こんなときはだいたい、贅沢に慣れた若旦那が登場し、身上をつぶすことになります。
創業何百年と続く由緒正しき商売には独自の伝統というものがあります。そこで物を作っている場合は当然の事ながら、そこで作られた名作が残っていたりします。初代がその名作を作り上げたとしたら、どうやってその後を継いでいったのでしょうか?長く残っているところほど初代の基本的な考え方を受け継いでいるように思います。
| 成果(富) |
→継ぐのは容易、無くなるのも早い |
| ↑ |
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| 手段(やり方) |
→継ぐことは可能でもいつまでの同じ方法は使えない |
| ↑ |
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| 基本的な考え方 |
→継ぐのは難しいし、それを手段に変えるのも難しい |
成果としての財産だけを受け継げば数ヶ月しか持たず、商売のやりかただけを受け継げば時代の流れについてゆくのは大変です。おそらく、初代が持っていた商売のやり方を支える基本的な考え方は時代を経ても変わらないものです。
ところがこの基本的な考え方は理想とか願望であったりするので、あまり具体的ではなく、何の役にも立たないとことも良くあります。人から感謝されるとこの上ない喜びを感じる人は多いと思います。その幸せは常に自分のそばに置いておきたいという願望を持っている場合、それを実現するための具体的な手段は人によって、時代によって異なることになります。
成功体験が変わるべき手段を頑なに変えることを拒み始めたとき、それを成功体験後のストレス障害【PPTSD(Post
Positive Traumatic Stress Disorder)】と呼んでも差し支えないのではないかと考えています。もちろん造語ですが、別の言葉で言えば調子に乗って失敗することとも言えます。
-2001/12/23
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