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同時多発テロ報道で思うこと


 人間は受精卵の段階で生物的な個性を持ち、それが分裂して赤ちゃんへと成長する過程で胎内でさらに個性が分かれ、この世に生まれてからもさらに多様な個性を持つことになります。この生物的個性(遺伝子の個性)だけではどんな人間になるかが何ともいえないのは同じ受精卵から分かれる一卵性双生児の運命が一人は裁かれる側に回り、もう一人は裁く側に回ることがあることからも解ります。
 
 多様な個性をもち、犯罪者がいてそれを裁く人が居て、被害者がいるのは生物学的には種の保存のために有効だとしても一人の人間として犯罪者や被害者に回ることは多くの苦難が待ち受けていることを意味し、本人に取ってみればたまったものではありません。
 
 この遺伝子の意志と一人一人の人間の意志が一致しないことは、生物的な成長(年齢を重ねること)が人間的な成長に必ずしも繋がらないことからもよく解ります。進んで悪者になろうとする人はいないでしょうし、テロリストになろうとする人もいないはずだと考えたい所です、ところがそういう人がが現実に存在します。
 
 おそらく、暴力を振るう人を家庭内に抱える人にとってはビルに激突する映像を映画だと考えることは出来ても、現実的に直面する家庭内の暴力の方がよっぽど大きな問題です。テロも学校でのイジメも家庭内暴力も幼児虐待も自分の意志を暴力という手段でしか表現できない人々であるという点で共通で、それはいつ自分が暴力を振るう立場になるか分からないという点での恐ろしさもあります。
 
 今回のテロ行為を自業自得だと考える人はイラクやパレスチナ自治区の中にいるように報道されています。その報道が事実だとすれば、彼らはなぜテロを喜ぶのでしょうか?米国が共通の敵であるという意味で彼らは一致しています。
 
 米軍はイラクが悪さをしないようにいう理由でアラブ諸国に軍隊をおきながら、パレスチナ地域で領土を広げるイスラエルを支援しています。パレスチナ自治区に住む人々の暮らしぶりはネットでも知ることが出来ます。別のコラムの参考リンクをご覧ください。
 
 彼らがイスラエルに反発をもつ理由は、次々に領土を奪われるということもありますが、その貧富の差にも大きな原因があるようです。フェンスを隔ててこちらは貧しく、向こう側はスプリンクラーがついた農場を持つイスラエル人の居住区があります。
 
 イライラはつのってもどうにもならずに石を投げる行為をインティファーダと呼んでいるようです。そしてイスラエルに対しても自爆テロが続いています。
 
 今回組織的に行われた自爆テロはなぜ可能なのでしょうか?当然のことながら、攻撃と同時に自らも命を絶つわけですから、今の日本人には信じられない所です。しかし、イジメに苦しんで死ぬ人は日本にもいます。自分を死ぬほど苦しめる人(敵)がいる場合、その人を道連れにしようと考えるようです。これは第三者が納得するかどうかではなく、本人がそう考えるかどうかです。
 
 実際にイジメに合っている人は存在するし、残念ながら自分のことが上手く行かないのは世間のせいだと考える人も存在し続けるでしょう。しかし、その規模の大小に関わらず、彼らには言い訳が存在します。この言い訳こそが、人間が悪になりきれない証拠だと考えています。
 
 テロを少しでも減らす方法があるとすれば、それはその言い訳をできないようにすることでは無いかと考えています。自分の両親やその両親やさらにさかのぼった昔のことまではどうにもなりませんが、少なくとも今の自分も国も相手にその言い訳を与えないようにすることが自衛ではないかと考えています。

 -2001/9/14





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