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『快楽』を追求すると、なぜ『禁欲』になるのか?




 人間は快を求め不快を避ける傾向がある、これがいわゆる快楽原則ですが、現実的には求めるがままにはゆかないものです。しかし、そう思っているのは自分が意識できる氷山の一角、に過ぎないのかも知れません。

 特大サイズのハンバーガーやフライドポテトやコーラを、『お買い得』だと甘い言葉で宣伝されれば、自分は買い物上手かも知れない、と乗せられてついつい注文し、やがて肥満という不快な状況に陥ります。

 「俺がこんなに太ってしまったのは、あんたが特大サイズのメニューを用意したからだ」という主張は、道徳的には説得力はなくても、その道徳がなかなか守られず、ついつい食欲を追求してしまう霊長類としての主張なら、それなりに説得力があります。
 
 ファーストフードについてのこんなアメリカでの騒動は、日本では関係ない、とも言えなくなってきました。若い頃には金が無くて、旨いモノを食いたくても食えなかったという記憶を残したまま、就職して十年二十年が経って収入が安定した頃、かつての欲望のままに飲み食いを続けると、待っているのは高尿酸血症に痛風、糖尿病・・・です。通風の発作に襲われたら、年金未納はけしからんなどと、人の世話を焼いている場合ではありません。
 
  自分の一生のなかで、味わう快を最大化するためにはどうしたら良いのか、これはつまり、快い幸せな一生を送るにはどうしたら良いのか、という問いにもなりますが、この答えはもう2300年も前のギリシャで出した人がいたようです。
 
 ”人間は快楽を求めるがそれそのものは善”と考えたエピクロスは、快楽を長続きさせるためにはあまり快楽を求めない方が良い、性急に快楽を求めれば、あとで不快がまとめてやってくるから、と主張しました。さらにストア学派は、名誉とかお金なんかはどうでも良いものなんだ、として禁欲を説きました。

 金貸しや金儲けを肯定するユダヤ教とは対照的に、キリスト教的な禁欲主義はこの辺に端を発しているようですが、今ではキリスト教国であっても金儲けは盛んです。石油の利権に執着してイラクでの不幸から抜け出せないアメリカを見ていると、アメリカがもう少し禁欲的であった方が、アメリカも周りも幸せなように思います。

-2004/6/9 





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