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占いは当たるのか?


 今年の一月四日に神社で引いた御神籤(おみくじ)は小吉。この御神籤は賽銭箱(さいせんばこ)の横に置いてある箱の中に100円玉を入れ、そのすぐ横に積んである御神籤の山の中から一つを選んで引くという方法を取ります。「御神籤を引いた日や時間はその人によって違い、従って大吉になるのか凶になるかも人によって違ってくる、だから当たる」と言えなくも有りませんが、あまり説得力がありません。何が出るかというより、引いたくじの結果をどう受け取るかの方がその人の運を決めるような気がします。

 御神籤の場合は受け取り方次第と考えることも出来ますが、筮竹(ぜいちく)と呼ばれる棒を使って占う易の場合はどうでしょうか?50本の筮竹の中から一本ずつ選んでいって、それぞれの陰陽を調べ、八卦、六十四卦(64通り)のなかの一つを決めて占うことになります。出る結果は偶然でしょうが、その結果や占いに訪れた人の姿や態度などからその人の運勢を読みとるのは易者に任されることになります。これは易者の翻訳能力が試されているとも言えます。

 占うたびに違う結果が出る場合、それほど運気は変動し、世の中に常なるものは何もない、と説明を加えることも出来ます。しかし、これは言い訳に聞こえます。

 生まれた年、月、日、時刻の四つの柱でこれからの運命を推し量る”四柱推命”の場合はどうなのでしょうか?動物占いも四柱推命をベースの一つにしているため、同じように年月日や性別でキャラ(個性)を決めているようです。ちなみに参考リンクにあるサイトで調べたところ、編者は新月のタヌキだそうです。多少は当たっているような気がします。

 四柱推命で自分自身の個性を占うとかなり当たっているように思えます。しかし、入力したのは誕生年月日と性別だけです。これはつまり、人間は生まれた時によって個性が決まってしまうということをも意味しているように思えます。さらに、同じように自分が知る範囲で異性との相性を経験と照らしてみました。どうも、この結果も当たっているように思えます。性格を良く知っている兄弟も調べてみました。やはり、これも当たっているようです。しかし、当たっていないところもあります。

 これはどういう事か考えてみると、一人一人が持っている本来の性質という意味では不思議に(たまたま?)当たっているようなのですが、「だからこういう職業に向いていてその分野で活躍するでしょう。」と書かれている場合でも、結果としての人生は、進路や就職などの際の成績、景気、それ以外の様々な事情によって違ってきます。

 四柱推命は『中国4000年の歴史』が作り上げた占いだから信頼するに値するという宣伝文句もあります。そうなのでしょうか?それなら、その時代に戻って背景を考えてみたいと思います。


○四柱推命はいつ始まったのか?

BC4000

BC2300

BC1600

BC1100



BC770

BC552



BC403

BC372

BC221



BC202

BC136



AC220












AC1894

AC1912





原始農耕始まる

獣骨を使った占い

甲骨文字による占い

周王の時代始まる

陰陽説始まる

春秋時代始まる

孔子生まれる

五行説始まる

戦国時代始まる

孟子生まれる

秦の始皇帝中国統一

(万里の長城)

漢中国統一

儒教が国教になる

五経定まる・陰陽五行説

三国時代始まる












日清戦争始まる

清王朝滅亡






 歴史の本を見ると中国では紀元前4000年くらいの新石器時代に黄河流域で農耕生活が始まったそうです。農耕生活が始まるということは、人々が食べる物を求めて移動していた時代から作物を育てるために定住することを意味します。ただ定住するだけではありません。機械が発達していない昔の場合は人手が必要でどうしても集落ができることになります。中国ではそれが今から約6000年程前に起こったことになります。

 紀元前2300年以降の現在山東省と呼ばれている地域では獣骨を使った占いが行われていたそうです。それは今から約4300年ほど前になります。中国4000年の歴史というのはこのことなのでしょうか?

 さらに、紀元前1600年頃に建てられた殷(いん)の時代の遺跡に残された甲骨文字(こうこつもじ: 後に漢字になる)が解読され、王はこの文字を使った占いで神権政治を行ったようです。何を占ったのかと言えば祭司、戦争、農業などです。

 紀元前1100年以降になると周王の時代(周代)になり、さらに紀元前770年になると周の勢いが弱まり、春秋時代に入ります。孔子が生まれたのは紀元前552年の魯の国(現在の山東省)。当時は下の者が上の者を倒す下克上(げこくじょう)の時代で孔子は理想的な君主が必要だと訴えたのですが、相手にされずに69歳のときに故郷に帰って弟子の教育に力を入れることになります。そのなかで論語・書経・詩経・春秋が生まれることになります。

 春秋の時代が終わって戦国時代が始まる紀元前403年以降に、人間は生まれながらにして善を行う性質を持っているという”性善説”を唱える孟子(もうし)が現れれます。しかし、孔子の教えも、孟子の教えもこの時代には時の権力者には届きませんでした。

 戦国時代が終わるのは秦(しん)の始皇帝が中国を統一する紀元前221年です。秦の始皇帝の時代には有名な『万里の長城』が築かれます。これは隣国が攻め入らないようにするための壁と言えます。それだけでは安心できなかったのでしょうか?『攻撃は最強の武器』とばかりに、隣国に攻め入みました。

 もともと秦は6国を滅ぼし中国を統一するくらいの力があったとのことですが、その力は敵を滅ぼすための力、つまり破壊するための力であって、国を治めるための力、つまり秩序(平和)をつくるための力では無かったとも言えます。

 攻め込まれる前に敵を攻めるために、その力を民衆の犠牲に頼っていたようです。秦は「言うことを聞かない奴は厳罰に処す」という『厳罰主義』を貫き、民衆に負担を強いたため反感を持った豪族や農民らによる反乱が起きてしまい、わずか15年で秦の時代は終わります。敵に攻め入られる前に、内部から崩壊したことになります。

 紀元前202年には反乱兵等によって、中国は再び統一されて漢の時代に入ります。秦の時代の厳罰主義では国を治められないという反省から、「人を殺したり、傷つけたり、あるいは人の物を盗んだりしない限り罰しない」という具合に法律による取り締まりをゆるめました。

 そして、紀元前136年にはついに孔子が祖となる儒教が国教となります。

 儒教を国教とした漢の時代は、220年に日本では有名な魏志倭人伝の『魏』が建国されるまで続くことになります。この間に儒教は儒学として完成し、儒学の根本的な教典である『五経』が定まります。この五経とは易経(えききよう)(周易)・書経・詩経(毛詩)・春秋(しゆんじゆう)・礼記(らいき)から成ります。

 春秋時代の孔子とその弟子の時代に出来たのは書経・詩経・春秋でした。つまり漢の時代に加わったのが易経と礼記ということになります。漢王朝の時代の後は魏・呉・蜀(蜀漢)からなる三国が抗争する時代が220年に始まります。儒教は中国の国教として、最後の王朝である清が滅びるまで、つまり1912年まで続きます。清が滅んだのは農民反乱の続発したり、欧米列強の外圧があった後、辛亥革命(1911年)によって中華民国が建国されたためです。

 中国の歴史を振り返ってみると、儒学が中国の国教であったのは春秋戦国時代という力の時代が終わって、中国が統一されてから、欧米列強による植民地支配という力の時代が訪れる清の王朝の時代までということになります。欧米列強が中国に外圧をかけたのは日清戦争で日本に敗北し、その弱さを欧米列強に示してしまったためとされています。

 これは破壊の時代であるとも言える力がものを言う時代には儒教はなじめず、国を治め続ける必要がある平和な時代にこそ儒教の真価が生きるという事でしょうか?

 さて、これらの歴史を踏まえて占いの話に戻ります。筮竹(ぜいちく)を使った占いが行われていたのは紀元前12世紀から3世紀まで、つまり春秋戦国時代が始まる前の周の時代から、中国が統一されて儒教が国教になる漢の時代くらいまでということになります。これは筮竹の一本一本を陰と陽に分けて占う陰陽説の時代にあたります。

 しかし、陰陽説だけでは四柱推命は成り立ちません。少なくとも五行説が必要です。五行は孔子とその弟子の時代に生まれたとされる『書経』のなかで初めて登場するそうです。つまり、春秋時代であると考えることができます。儒学が定まって、易学が五経の筆頭になる漢の時代に陰陽説と五行説が結びつき、陰陽五行説が出来上がります。

 四柱推命が陰陽五行説を根拠にしているということから、四柱推命の始まりは漢の時代以降ということになります。




 さて、ここまで考察を続けても四柱推命が当たるかどうかはまだ謎のままです。しかし、実際に占ってみるうちに感じたのは四柱推命が当たっているとすれば、それはその人の現在の個性ではなく、本来の性質の方ではないかということでした。

 であるとすれば、それは見える物の上にあって、見えず変わらないもの(形而上(けいじじょう)にあるもの)を当てているということになります。孔子はこれを敢えて扱わず、直接役に立つ教えを説いたそうです。

 儒教はそれまで不足していた形而上にあるものを加えた朱子学で大成されたと言われています。朱子学は朱熹【しゅき(1130-1200)】によって完成されています。


 四柱推命で自分がどんな人間かを示されたとき、それは自分の本来の姿であるに違いない、と考えて、ではなぜそこからずれて(あるいはひねくれて)しまったのだろうかと考えてみるのも占いの一つの楽しみ方かも知れません。


ー2002/2/11


■参考リンク

  1. 占いができるサイト


  2. 解説があるサイト


■参考文献








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