世の中には妻や恋人に「愛してる」と一日に何度も言わねばならない国があるそうです。「愛してる」は、男と女の間にあると言われながら誰も見たことがない愛情をより強固にするためのツールと言えそうです。愛情は、男と女の間に生まれた精神的な建造物であり、その造りが柔であるがゆえに壊れやすく、常にメインテナンスが必要なのです。
そんなツールを常備せねばならない国の男達はさぞかし大変だろうと思うかも知れません。しかし彼らは意識せずともそうした言葉が出てくるように、自然に反応できるように訓練されているのです。別の言葉で言えば、そのようにしつけがされているのです。つまり「愛してる」は日本人にとっての「こんにちわ」と同義である、と言えなくもありません。
男女の間に愛情があり常にその補強が必要なのだとすれば、一人一人の人間には人格と呼ばれる精神的な建造物があることから、それが崩壊せぬように常に補強が必要だと考えるのも自然です。人格もやはり傷つきやすく、壊れやすく、それがためにプライドで補強せねばならないのです。プライドは自己の存在意義を補強するための心的ツールであると考えることもできます。
道具を使えることが人間らしさを決めているとすれば、プライドというツールを使うことは実に人間的である、と言えそうです。しかし、どの道具もそうであるように、道具の使い方を間違えて失敗したり、あるいは道具に使われてうろたえたりするこが十分に考えられます。
結婚を間近にしたある男が新居としてマンション購入を考えました。よくある話です。ところが先立つものがありません。これもよくある話です。ところが男はマンション購入費用を手に入れるために泥棒行為をしてしまいました。そして捕まってしまったのです。これは切ないニュースでした。プライドに使われうろたえた例、と言えそうです。
同じくプライドに使われている例として、プライドが邪魔をして好きな人に好きだと言えないケースもあります。フラれてプライドが傷つくことを恐れるあまり、うち明けることができないでいるというわけです。
明らかに、プライドというツールに使われうろたえています。自分はフラれたことがない、というプライドを持っているのなら、自分は素直に敗北を認めることができる、というプライドに切り替える方が、ツールとしては正しい使い方だと思います。とは言っても、ツールの正しい使い方を覚えるためには、何度もフラれるという訓練が必要なのかも知れません。
-2005/3/2
●当サイトは全ページリンク・フリーです。連絡も要りません。
Copyright(C) 2000-2006 xSUNx(サン) all rights reserved.