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資源としての感情


 地下資源はかつての動植物が地の底に埋まって変化して、石油になり天然ガスになり、彼らのエネルギーが凝縮して蓄えられていて、そのために利用しやすいエネルギー資源になっています。

 ところが人は幸運にも石油を飲んだり、プロパンガスを吸っても力は得られず、もちろん電気のコンセントに指を差し込んでも、ビリビリしびれるだけで、ご飯の代わりにはなりません。どうしても、他の動物と同じく、肉や野菜を食べて、やっと力を得て動き始めます。体を作る素や力の素や体の調子を整える栄養素が足りなくならないように、たいていの人は栄養に気を遣います。それでもどんなに食べ物から得られる栄養が満ち足りていても、それだけではまだ何かが足りません。

 人間であるがためにどうしても足りなくなる資源は至る所に眠っているように思えます。自分より幸せな人、というより幸せそうに見える人を見て妬んだりすることがあります。その感情という資源を上手い具合に消化して栄養に変えてしまう人もいます。これは一歩間違えると毒になって、ただ人をけなす人になってしまうというリスクがあります。

 人にバカにされて悔しい、という感情さえも資源で、負けてなるものかと頑張る人もいます。しかし、この資源は勝ちを意識した時点で、それ以上の力は湧いてきません。

 世の中が気に入らないと腹を立て、それをエネルギーにして動き始める人もいます。それでもその動きが大成功に終わっても、気に入らない人達がいなくなるだけで、残るのは闘う相手を失った退屈な世界です。

 惹かれる何かを見つけて夢中になって、ただそれを知ろうとして動き始めれば、妬みや悔しさや怒りに比べればまだましなのかも知れません。それでも惹かれる何かに裏切られたら、まるで逆風のように力を失ってしまいます。

 妬みながらも妬んでしまう自分を嫌い、悔しいだけではどこに力を注いで良いかも分からず、怒りにまかせて動けば破滅すると自分を抑え、さりとてこれといって夢中になれることもない日々が続くなら、いよいよ貴方の資源は地上に吹き出さんばかりに膨らんではじけそうになるに違いありません。

 その溢れそうな資源に価値を与える使い道さえ見つかれば、貴方は動こうとせずとも誰かに背中を押されるように動き始め、自分の手ではないかのように何かを描き、語り、あるいは歌い、踊り始めるかもしれません。

 その如何にも自然に湧いてきたかのような気さえする衝動に身を任せる自分を夢見るのなら、資源の無駄使いはしない方がいいような気がします。怒りをそのまま人にぶつけたらそこで消費されてしまいます。人を妬んでその人をけなしたらその瞬間にやはり消費されてしまいます。肯定的な感情が自分に力を与えることは分かりますが、容易にわき上がってしまう否定的な感情こそ、より大きなエネルギーに変えられる資源なのかもしれません。

-2001/12/21



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